ボツネタ集
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こちらのページの一部のネタは2017年に発売された『僕たちの好きなバック・トゥ・ザ・フューチャー』(宝島社)にて、
大幅加筆修正した上で記事として掲載させていただきました!

・タイムマシン
 初期のタイムマシンはデロリアンではなく冷蔵庫だった。中に入り、やはり1.21ジゴワットを使ってタイムスリップし、レバーで時間を設定した。しかし、子どもが中に入り真似をすると危ないという理由と、移動が出来ないと不便と考えたのでボツとなった。次に移動もできて、どんな悪路も走行できるようにキャタピラのついた戦車のようなものを考えたが、宇宙船に間違われるというギャグのためにデロリアンとなった。

・マーティ
 初期はロック少年ではなく海賊ビデオを作る少年の設定だった。自殺を考えるような、人生に打ちひしがれているような少年だったらしい。しかし、会社側がこれを許さずボツとなった。

・ドクの仲間
 初期はドクと研究を進める仲間がいた。ドクはその会社の名前を「Xロックス」と呼んでいた。

・ビフの職業
 ビフは初期の草稿での職業は1985年でマーティを追う警察官だった。しかしストーリー上、1985年でもビフがジョージをいじめている必要が出てきたため変更となった。

・マーティ役
 今はマーティ役はマイケル・J・フォックスだが、ここまでには長い経緯があった。最初はマイケルにやはりオファーが送った。彼は『ファミリー・タイズ』のアレックス・キートン役で既にスター。そこで『ファミリー・タイズ』のプロデューサーのゲイリー・デヴィッド・ゴールドバーグに出演の依頼をした。プロデューサーはマイケルに聞く前に断った。その理由は「女優一人が産休で今ドラマの主役はマイケルだから離すことは出来ない」。ゼメキス達は粘りたがったが、スタジオからは映画の公開日をメモリアル・デー(戦没将兵追悼記念日:5月最終の月曜日)と厳命された。間に合わないなら製作もなしだと。しかし、マイケルの体が空くのは3月初旬。究極の選択を迫られた
 最適の役者が得られるように全米中を探し回った。そこにはジョニー・デップや、後にマイケルの代わりに『スピン・シティ』の主役を務めたチャーリー・シーンなどの名も挙がっていた。撮影を延ばしに延ばしていたゼメキス達に、候補に残ったのが、C・トーマス・ハウエルとエリック・ストルツ。スクリーンテストではハウエルが良かったが、ユニバーサル社長シドが推薦したのはエリックだった。結果ゼメキスは妥協してしまいエリック・ストルツがやる事に。この時、エリックがゼメキスたちとロケハンしていた現場近くで、『ティーン・ウルフ』の撮影でマイケルも近くにいた。オファーがあったことも知らないマイケルは「いつかスピルバーグの作品に出演したい」と思っていたという。しかし、いざ撮影が始まり、かなりのところまでやって撮ってきたが、ゼメキスはマーティに必要なユーモアをエリックに伝えることが出来なかった。まじめすぎたことも問題だった。
 6週間後、映写室で45分の編集済みフィルムをゼメキスはスピルバーグに見せ、こう言った。「どうしてもコメディになっているとは思えない。自分が間違ってるかどうか、確認してくれ」スピルバーグは一言「いや、君は正しい」。すぐさまスピルバーグたちはあのユニバーサル社長シドに出向いた。そこで彼は実に理性的にふるまい、本を投げつけたり、怒り狂ったりもしなかった。シドはこう聞いた「それがこの映画にとって必要なことだと、本気で心からそう思っているんだな?」。だから全員で「はい、その通りです」と。
 幸運にも『ファミリー・タイズ』のプロデューサーであるゲイリー・デヴィッド・ゴールドバーグはスピルバーグの親友であり、主役交代の事情を説明した。彼はスケジュールはファミリー・タイズの撮影が優先という大前提を前置きした上で「女優が産休から復活してこっちにも余裕が出来た。マイケルに聞いてみてくれ」と返事をした。ゲイリーはマイケルをオフィスに呼び寄せると「読んで気になったら来週から撮影だ」と脚本を渡した。『ティーン・ウルフ』の撮影時に作品名を聞いていたマイケルは「撮影中では?」と質問すると「役者を変えたいんだと」とゲイリーで答えたという。マイケルは脚本をすぐに気に入り出演が決まった。皮肉なことにエリックのおかげマイケルが起用でき、撮影開始から6週間後ついに交代となった。テレビドラマとかけもち出演で彼のエネルギーが二分されようとも仕方なかった。話はわずか、2日の間に決まり、壊されたセットが立て直され、キャストやスタッフは戻され、何百万ドルもの金が費やされ、撮影は再開したのである。
 マイケルは6週間の間、昼間は『ファミリー・タイズ』を撮り、6時から夜中まで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のセットに入るというハード・スケジュールに耐えた。週末には昼間のシーンをまとめて撮ったため彼は何週間も休めなかった。本人はシュールな体験だったと語っている。加えて、休日出勤のためスタッフへの休日手当ても増える一方だったという。しかし、そんな苦労の中でボブ・ゲイルは彼が現場入りした日を忘れられないと語っている。「カメラの前で彼が演技をした瞬間これぞマーティ!と実感して、作品の成功を確信した。」

 また、残念ながら降板となったエリックについてゼメキスは「エリックは単にミスキャストだった。それは彼の才能や能力とはまったく関係ない。彼はすばらしい俳優だ。けれど、彼のコメディ感覚が、この映画で私が思い描いたものと違ったということだ。辛い決断だった。私だけでなく、誰にとっても。スタジオは数百万ドルを損することになる。けれど、もし映画をそのまま作っていたら、映画はきっと失敗しただろう。そして、私のキャリアも終わったはずなのだ。私は映画のために為すべきことをしたんだ」と語っている。
 

・エリック降板時のリー・トンプソン
 リー・トンプソンは友人であったエリック・ストルツが降板したこと、そして“テレビ俳優”であるマイケル・J・フォックスが代わりに入ってきたことにわだかまりがあったことを認めている。「俳優には映画俳優とテレビ俳優がいて、そのテレビ俳優の中にシットコム俳優がいたの。映画俳優はシットコム俳優を見下す風潮があったから」。しかし、その後すぐにトンプソンはマイケルの実力を認め、わだかまりは溶けたという。

・他にもあったエリック効果
 エリック・ストルツを起用して撮影が伸びたためにマイケル起用ができたが、それ以外にもエリックは様々な幸運を作品にもたらした。
 ロレイン役のリー・トンプソンは、映画『ワイルド・ワイフ』でエリックと共演していたが、スタッフがエリックの視察で撮影に訪れてた際に興味を持った。さらに、ジェニファー役のクローディア・ウェルズは1度出演が決まっていたが、ドラマとの撮影スケジュールの都合がつかずにエリック撮影時に降板(代役はメロラ・ハーディン)。しかし、マイケルで撮り直しで決まると、女性スタッフがメロラだとマイケルとの身長差が大きすぎるとクレームが入り、再びクローディアにオファーがまわり、今度はスケジュールの都合がつき無事にジェニファー役を演じる事ができた。

・ジョージがお菓子を食べている理由
 PART1冒頭のマーティが家族との団らんシーン。その時にジョージはなぜか大量のお菓子を皿に持っていたが、実はビフが帰った後に親子が訪れお菓子を大量に売りつけていたのだ。断りきれずジョージはそのまま買ってしまった。ジョージの情けない姿の改めて見せようとしてたわけだ。

・ヘアドライヤー
 マーティが宇宙人に扮装して父親を脅かすシーンで腰につけていたヘアドライヤー。55年にはないヘアドライヤーをマーティが持っていた真相。それは85年のドクが未来に持って行こうとしたトランクの中にあったものだった。その他に木綿の下着、プレイボーイなどがあった(バック・トゥ・ザ・フューチャーの秘密より)。しかし、物語のテンポを崩すことになるため惜しくもボツに。

・ジョージの左フック
 PART1でジョージの家の裏庭でダンスパーティーの打ち合わせをするマーティとジョージ。あのシーンでマーティがサンドバッグを持っている。当初は、あそこでジョージに殴る練習をさせるんですが右手だと丸っきりダメだが、左手で殴るとサンドバッグを吹っ飛ばすという、後のビフを殴るシーンの布石を撮ろうと考えていた。しかし、観客にはダンスパーティーのシーンでそれを見せるべきということになりボツとなった。
 さらにこれにはもう一つ裏話が。DVDなどの未公開シーンではここでジョージがマーティの腹に軽くパンチするだけで終わっているが、実は最終的にマーティの持ってきたサンドバッグをジョージが殴ると、サンドバッグは洗濯ヒモから外れて家の窓を割ってしまうところまで撮る気だったのである。しかし、その洗濯ヒモの高さをエリック・ストルツに合わせてしまったため、マイケルの高さではサンドバッグを結びつけられなかったため撮れなかったのである。
 ちなみに、初期の台本ではジョージの変わった未来ではボクサーになる設定だった。

・老ビフの死

 若い自分に年鑑を渡し未来に帰ってきた老ビフが苦しんでいた真相。それは、85年A以降今の生活に耐え切れなかったロレインがビフを殺した為、未来に存在しない老ビフはこの世から消えることに(バック・トゥ・ザ・フューチャーの秘密より)。しかし、試写会で見た観客からこのシーンの意味がわからなかったため急遽ボツとなった。


・警官ストリグランド
 1885年でビュフォードを捕まえた時ストリグランドが現れなかった真相。それは、タネンがイーストウッドと決闘しようと町に向かう途中にストリグランドと出くわし殺してしまった為(小説、写真集より)。このシーンは、観客は誰も死ぬところを見たくないし、物語のテンポを崩すためボツとなった。

・D・W・グリフィス
 1885年でマーティが映画について語るが、もちろん誰も聞く耳など持たなかった。たった一人、小さな少年が「映画ってなに?」とたずねる。だが、マーティが答える前に「さぁ、行くんだ、D・W。さっさとしろ。」と少年は連れて行かれてしまう。すると一人の男が「あのグリフィス坊やをおとなしくさせようなんて無理だね。」と話し出す。この少年が後に有名になる映画監督”D・W・グリフィス”というわけだ。
 この設定は後に、ビュフォードとの決闘後のマーティにガンベルトを渡す少年へと引き継がれるが本編ではカットとなっている(小説ではマーティの即席防弾チョッキに興味を持ち、上記のようなやり取りをする描写が描かれている)。

・ポスター
ドリュー・ストラザンが描いた、惜しくもボツとなった愛すべきポスターたち。