デロリアン

タイムマシン「デロリアン」ついて解説
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 ドクが発明した『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の顔とも言うべきタイムマシン「デロリアン」。きっかけは1955年11月5日、ドクがトイレで滑って頭をぶつけた際に「次元転移装置」のビジョンが浮かんだこと。それから30年かけて家も財産も全てつぎ込んで完成させた。デロリアンを選んだ理由をドクは「どうせ作るならかっこいい方がいい」と「デロリアンのボディは粒子の分散を…」の2点をあげている。
 タイムトラベルするには、まずタイムサーキットをONにして目的時間を設定。燃料が十分であれば、そのまま140キロまで加速すると次元転移装置が作動して車体は白く輝き、2本の炎の轍を残してタイムスリップ。目的時間になると3度のソニックブームと共にデロリアンが再び現れる。マーティ曰く、再突入時には衝撃があるらしい。

デロリアンがどの様な手順でタイムトラベルを可能にしているかは製作者たちも決めてないため正確にはわからないが、以下の様な原理だと考えられる。
・デロリアンが140キロに達すると、1.21ジゴワットの電流が次元転移装置に流れて作動。車体の上部の装置から時空の裂け目を作る。
・それと同時に1.21ジゴワットの力でタイムサーキットも動き出し目的時間への設定を始める。
・2つが揃った瞬間、デロリアンはタイムスリップを行う。

デロリアンの変遷
○PART1
 1985年10月26日に完成した最初のタイプ。リモコンで操作することも可能。140キロまでの走行は普通の車と同じくガソリンを使用する。1.21ジゴワットの電力は車体に後部に積んだ原子炉から発生させている。そのためタイムスリップごとにプルトニウムの補充が必要であり、ドクはリビアのテロリストを騙して入手している。またタイムスリップ後は非常に低温になるため車体が氷漬けとなる。この頃はスターターの調子が悪く、エンジンがかからないことがよくあった。ナンバープレートは「OUTATIME」。
 プルトニウムの代わりに時計台の落雷を利用するためトロリー・ポール(小説版の名称より)をつけたタイプ。稲妻の電流が直接、次元転移装置に流れる様になっている。
○PART2
 2015年でドクが改造を行なった世間に最も認知されているタイプ。最大の特徴は飛行機能とミスター・フュージョン。飛行機能によってデロリアンは140キロに加速するまでの長い助走を必要としなくなった。さらに、プルトニウムに代わって取り付けられたミスター・フュージョンは生ゴミを分解する力で1.21ジゴワットの生み出すと言う優れもの。だが、この頃からタイムサーキットの目的時間がバグるなどの故障が頻発する様に。ナンバープレートは未来のバーコードタイプ。
 ちなみに、コミック版によるとドクは飛行機能への改造費を捻出するため、2015年では超高額で取引される「アクション・コミックス」なる本の創刊号を過去に戻って大量購入して、2015年で売りさばくというとんでもない方法で大金を用意した。
○PART3
 雷の直撃を受けたデロリアンはドクを乗せたまま1885年にタイムスリップ。西部の時代に取り残されたドクはデロリアンの修理を試みるが、タイムサーキットを制御する日本製のマイクロチップに代わる部品が1947年まで開発されないことを知り断念。1955年のドクに修理を任せるために炭鉱の洞穴に埋めた。そして、85年ドクの設計図を元に55年ドクが新たに取り付けたのがBIG CHIP(下記参照)。それまでタイムサーキットの中枢を担っていたマイクロチップに代わるものだ。また1885年の荒野を走行できる様に、車高の高いホワイトホイールタイヤに変わり、タイムトラベル時の光も白からオレンジになった。
 そして、数々のタイムトラベルをしてきたデロリアンの最終形態。燃料タンクに穴が空いて自力で140キロへの加速ができなくなったため、機関車に押して140キロまでいく作戦に変更(この間にウィスキーを燃料代わりに使用しようとしてマニホールドも破損させている)。そのためタイヤを車輪に付け替えて、線路の上にデロリアンが走れる様にした。ここまで数々の改造をされてきたが唯一、次元転移装置とタイムサーキットだけは最後まで使用された。
 その後、1985年にタイムスリップ後、列車にひかれてデロリアンは完全に破壊された。

各装置の解説
①次元転移装置(Flux capacitor)
 タイムトラベルの核となる装置。運転席の後ろに設置されたこのY字型の装置から強烈な光が出ることでデロリアンは時空の壁を越えることができる。これを作動させるために時速140キロと1.21ジゴワットが必要。PART3で70年以上も放置されてもちゃんと作動するなど、故障が多かったデロリアンでもここだけは一度も調子が悪くなることはなかった。
 初期の脚本では"TFC(Temporal Field Capacitor)"と呼ばれ、デザインなども違っていたという(コミック版にも同名の物が登場する)。
②タイムサーキット(Time circuits)
 タイムスリップする行き先時間を設定できる装置。運転席に右に設置されたY字型のスイッチをONにすると、上から目的時間(DESTINATION TIME)、現在時間(PRESENT TIME)、出発時間(前回のタイムスリップした時刻:LAST TIME DEPARTED)が表示される。年代はキーパッドで自由に設定できる(月・日・年・時・分の順で入力)。時間はAM/PM表記だが、入力する際には24時間表記で行うと思われる(例:午後1時に行くのであれば13-00)。
 時空の壁を越えるのは次元転移装置の仕事だが、目的時間の設定は全てこのタイムサーキットにある日本製のマイクロチップが制御してたと思われる。だが、PART2のラストの落雷によって壊れてしまい、以後はBIG CHIP(下記参照)で代用した。
③タイムトラベルの燃料
 タイムトラベルに必要な1.21ジゴワットの電力を発生する装置。最初はプルトニウムを燃料に原子炉を使って1.21ジゴワットを発生させていたが、1回つきプルトニウム1本を消費する上に、用意するのも容易なことをではなかった。さらに、補給の度に放射能防護服を着て行うなどの危険も。ちなみに、次元転移装置に電力を送るのはこの装置以外からも可能らしくはPART1で85年に戻る際には時計台の雷を直接、次元転移装置に送った。
 
 そして、ドクが2015年から帰ってくると新たにつけられたのがミスター・フュージョン(Mr. Fusion)」。 生ゴミを燃料に核融合を行い、1.21ジゴワットを生み出す画期的装置。しかも、バナナ、空き缶、ペプシパーフェクトまで結構何でも入れられるようだった(毎回思うのだが、ドクはビールやペプシパーフェクトの残りを注いでから缶も入れるが、最初からそのまま入れればいいのでは)。PART2で老ビフが燃料補給無しでタイムスリップしてることから、少なくとも2回分の電力は発生できると思われる(流石に帰りは55年で補給しただろう)。
 当初はウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニー(Westinghouse Electric Company)社製にするため同社のロゴを入れようとしたが断られたという。そのためもっと目立たないデザインに変えたが、Wの文字が残るようなデザインだけは残した。また、有名な話ではあるが、ミスター・フュージョンの小道具はドイツにある"KRUPS"のコーヒー豆挽き機をそのまま使用している。
④排気口
 原子炉を使用する際に必要な冷却口の役割を果たす2つの大きな排気口。個人的にはタイムマシン・デロリアンの最も印象的な部分だと思っている。燃料がプルトニウムからミスター・フュージョンに代わると飛行機能の噴射口として使用された。
⑤スピードメーター
 当時のアメリカの速度規制では85マイル(約136キロ)までしか出せないため、改造前のオリジナルのデロリアンのスピードメーターは85マイルまでしか表示されていなかったが、タイムマシンのデロリアンには95マイル(約152キロ)まで表示できるものに交換されている。また、ダッシュボード上にデジタル式のメーターが置かれ視覚的にスピードがわかりやすい様になっている。
⑥クリスマスツリー
 デロリアンの装飾を担当したシェッフェが名付けた「クリスマスツリー」と呼ばれる運転席後ろにある装置。下から緑、黄色、赤の順に並んでいるが「刺激的」という理由だけでつけられて正確な機能ははっきりしていない。
⑦メーター
 ダッシュボードの上に置かれた3つのメーター。左から"PRIMARY","PERCENT POWER","PLUTONIUM CHAMBER"と書かれている。1番右側がプルトニウムの燃料を表示しており、切れるとアラームが鳴るようになっている。ミスター・フュージョン設置以降はどうなっていたかは不明。
⑧タイムフィールドジェネレーター(Time Field Generator)
 名称は『週刊 バック・トゥ・ザ・フューチャー デロリアン』(デアゴスティーニ)のパーツ名より。車体上部につけられた装置で、合成の工程からの管理人の推測ではあるが、おそらく次元転移装置が作動した際に時間の裂け目をここから作り出していると思われる。
⑨飛行機能(ホバー・コンバージョン/Hover conversion)
 ドクが2015年で改造してもらったことでデロリアンは重力のという壁すら突破した。運転席にあるスイッチで一つで、タイヤが90度に曲がって飛行モードになる(小説版より)。どうやら運転もそのまま自動車の運転で行うことができたよう。しかし、PART2のラストで落雷を受けたことで制御を担っていた飛行サーキット(Flying circuits)に過度の電流が流れて破損。2度と空を飛ぶことはなかった。
⑩BIG CHIP(真空管)
 こちらもデロリアンを装飾したシェッフェが名付けたニックネーム。1985年ドクの設計図を元に55年ドクが新たに作ったタイムサーキットのマイクロチップに代わる真空管を使った装置。

メイキング
 多くのファンには周知の事実だが、脚本の初期段階ではタイムマシンは冷蔵庫のような箱型だった。また、脚本が最初書かれたのは1980年だったためデロリアンは発売もされていなかった(発売は1981年)。
 1984年、ゼメキスたちは脚本の書き直している時にある矛盾に気付く。ドク・ブラウンが自分と一緒に移動できないタイムマシンを開発することは考えられない。そこで解決策として浮かんだのが『車』だった。ゼメキスは最初はキャタピラ付きの戦車のようなどこでも走れる車を考えた。しかし、その車は「クールで、かつ人々に驚きを与え、それを目にした子供たち誰もが欲しがる様なものではなければならない」。ジョームズ・ボンドのボンドカーやバットマンのバットモービルのような、観客に衝撃を当たる車が必要だった。
 そして、80年代初頭当時のクールな車といえばデロリアンの他になかった。その際にガルウイング式のドアを見て宇宙船と間違えるジョークが生まれた。ゲイルは「独創的で、これを上回るような良い案は出てこないパーフェクトといっていほどのアイデアだった」と述べている。事実、映画に向けて様々な指摘を受けたり、議論を重ねてきたが、デロリアンの決定が覆ることはなかった。しかし、プロダクト・プレイスメント(宣伝タイアップ部門)の担当者たちは、代わりにフォード・マスタングを使うことはできないかと考えていた。そうすれば、フォード社から協賛金をもらえるからと彼らは説明したが、もちろん一蹴された。ちなみに、個人的な予想ではあるがその流れから55年ビフの車は46年型フォードになったのかもしれない。

ータイムマシンのデザインー


プロバートのデザインの初期デロリアン

 製作開始前の段階になると、次なる問題、核燃料タイムマシンに改造されたデロリアンのデザインを考えることになった。
 最初に取り組んだのは、ストーリーボードを担当していたアンドリュー・プロバートだった。彼は自分はタイムマシンのデザインもできるとゼメキスたちを説得してデザインの製作にとりかかった。あがった最初のデザインはとても見た目はカッコよかったが、「機械的」な外見、完璧な仕上げとハイテクを備えていて、あまりに洗練され過ぎていた。ドク・ブラウンが自分の家の車庫で作るものとは言えなかった。ゼメキスとゲイルが求めていたのは「もっと未完成な感じで、手作り感のあるマシン」だった。
 そこで次なる人物、ロン・コップにデザインを託した。彼は『エイリアン』『スター・ウォーズ』『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』のデザインを担当しておりゲイルと知り合いだった。彼のスタイルはアンティークものより素朴で、2人が目指しているデザインを完璧に理解していた。ドクが原子炉を車に搭載するならどうするかなど実質的な面を3人は何度も話し合った。また、原子力発電所から重要な要素として冷却口が必要ということで、後ろに大きな冷却口を付けることにした。ドクの性格からして、配線や部品などを取り付ける際に外見なことにあまり時間を割かないだろうと考えて、ケーブルなどは文字通り車の側面に貼付けることにした。

 その後、ロンはすぐにデロリアンのデザインを上げると、それは2人を満足させるすばらしいものだった。しかし、彼は不運にもプロジェクトを離れることになり最終的な仕上げを再びアンドリューに託されることになった。プロジェクトを離れた理由はゲイルもあいまいで、ロンが別プロジェクトのために離れたか、彼を雇うだけの予算がなくなったのかの定かではないそうです。アンドリューによる最大の変更点は、2本目の「冷却口」を後部に付け加えたことだった。この2本の冷却口が巨大な排気管のように見え、バランスも取れた一段と見栄えが良くなった。
 1984年夏の終わりには、タイムマシンのデザインが完成した。


ロンのデザインの排気口1つのデロリアン

(ナンバープレートは"NO TIME"(時間は存在しない))

最終的なデロリアンデザイン


 もう一つ重要だったのが、タイムトラベルの映像化だった。
 カメラの前でデロリアンがタイムトラベルする際のイメージ化には、視覚効果スーパーバイザーで当時ILMに所属していたケン・ラルストン(現・ソニー・ピクチャーズ・イメージワークス社長)の助けを求めた。大事にしたのはタイムスリップする際の瞬時性。この作品では時空を越える際は一瞬で、時空を超えている間の(管理人注:ドラえもんのような)表現はしないことになった。彼らILMチームはタイムスリップ際に稲妻が出るといった様々なアイデアを持ち込み、最終的にタイムマシン自ら前方に亀裂を作り出して、その中を走り抜け、後には通り道に沿って炎が残るアイデアが決まった。タイムスリップする際は高熱を出すために炎が残り、逆にタイムスリップした後は低温になっていため車には液体窒素をかけて凍り付いているように表現した。とはいえ、ゲイルはあくまでもリアリティを高めるに必要であって、そこまでこだわる必要がないと考えたという。またゼメキスは物理的効果と視覚効果を組み合わせることで最高の映像ができると考えており、その結果、車に何か光を放つ要素が欲しいと要望し、車にネオン管を巻き付けることになった。
 時計台の落雷や光のエフェクトを担当したアニメ監修のウェス・タカハシは「ネアンデルタール人が車のボンネットに座り、アイスピックで時空の構造を破壊していく様な映像」をイメージしたという。
 最終的に劇中のタイムトラベル映像は実写と特撮とアニメーションの3つを合成させたもので、以下の様な工程を踏んでいる。
①車が140キロ(88マイル)に近づくと、裏で技術係が次元転移装置を白く光らせる。
②車のフロントとサイドのネオン・コイルが青く光る。この効果は後にもっと強烈にした。
③車の屋根についた装置からアニメで描かれた光の波や粒子が放出される。
④フラッシュバルブを使った火花の効果によって、デロリアンが時間の壁を越えたことを表す白い閃光が起こる。
⑤道路に引いた化学薬品に火をつけて、車が残した2本の炎の軌跡を作る。


ータイムマシン・デロリアン製作へー

 デザインの決まると、実際にタイムマシン・デロリアンの製作に取りかかった。
 車の製作はメカニカル効果スーパーバイザーのケビン・バイクとマイケル・シェフが担当した。1984年10月、3台のデロリアン購入された。当初、この内の2台は車が故障した際にスタンバイさせておく予備車としての想定がされており、3台はまったく同じく改造を施す予定だった。しかし、実際に購入してデロリアンを見てみると、車内に映画用の35ミリカメラが入らないことが発覚した。これではカメラを車内に入れての運転席からのショットなど撮れなくなってしまう。そこで3台の車の内、走行用に2台して、1台を車内にカメラを設置するために切断することとなった。
 アンドリューのデザイン元に製作が始まったが、デロリアン製作を担当することになったマイケル・シェフは「デザインの細部を見ると、部品の明確な指示はなく、抽象的な表現で描かれていた」。そのため彼は軍の中古品や部品販売店、中古品売り場など、車の装飾する部品に遭遇する可能性がある場所を探しまわった。部品を買ってきては、ガレージに戻り「ああでもない、こうでもない」と部品をはめたという。また、デザインに見合う様な部品がない時は、それに代わる素晴らしい代用品まで提供してくれた。あとは技術者も3〜4人雇ってひたすら電気系統をつないでもらった。これらの部品は2台ないし、3台分用意して撮影期間中を耐えられる強度が求められた。この3台はわずか10週ですべて作られた。
 この3台のデロリアンは製作者たちの間でそれぞれ<A車>、<B車>、<C車>と呼ばれるようになった。

A車
A車


B車


C車

<A車>
 この車が内装、外装と共に1番作り込みがされておりデロリアン。基本の撮影はすべてこの車で行われた。

<B車>
 主に走行用として製作されたデロリアン。走行シーンをメインとしているため内装はそこまで作り込まれていない。

<C車>
 車内シーンを撮影するために輪切りされたデロリアン。フロントガラスに向いたシーンはもちろん、助手席からマーティ横顔を撮るサイドショットなどはすべてこの車から。切断されているため音響ステージ上で、流れる風景をスクリーンに投射しながら撮影が行われた。
 
 元々のスケジュールでは走れる車1台があればいい予定だったが、乗り込むシーンも一緒に撮りたいということになり、まったく外装が同じ車を2台同時に作ることになり大変だったという。さらに、タイムサーキットの時間表時の「月」表示は元々は数字だったが、ゼメキスが撮影時に英字表記に変更する事したためC車のみ英字表記となった。そのためA車、B車に関しては3部作を通して「月」表記が数字となっている(劇中内でもこの2台が数字表記なのが確認できる)。

ー撮影時の苦労ー

 ゲイルが撮影中1番残念だったのは、デロリアンが燃料管理部品に問題があり数シーンで求めていたスピードが出なかったことだった。そこで「アンダークランク(通常のコマより少ないコマ数で撮影すること。これを通常のコマで再生すると速く見える)」という撮影法で解決した。
 ファンの方ならご存知かと思うが、デロリアンは発売当時から故障が多い車で有名だったが、映画撮影中も故障は日常茶飯事だった。デロリアンでの撮影は数日後には、この車での撮影は時間に余裕をみないといけないことが決まりとなっていた。しまいには機械工のスタッフまで常駐することになったという。その意味では車内にカメラが入らなかったのは不幸中の幸いだった。なぜならそのシーンの撮影では車を走らせる必要がなかったからだ。さらに、ステンレスボディに傷がついたときには切断した余分のフェンダーやパネルから修理することもできた。
 有名なトラブルとして、撮影は冬に行われたが、マイケル・J・フォックスのスケジュールも都合もあって夜中の2時〜3時など、もっと冷え込み時期に行われた(大体2〜3℃)。デロリアンのガルウイングのドアは標準的なガス式の支柱によって支えられているのだが、ドアを開けっ放しにしておくと10分〜15分ほどでガスが収縮してドアがゆっくりと閉じてしまった。そのため製作スタッフが各テイクの合間に支柱をドライヤーで温めていた。
 ちなみに、マイケル・J・フォックスも相当まいったようである。「あの車が大嫌いだった。堅い金属製のパネルは(ギアを入れる際に)拳をぶつけたら痛くて、骨が折れそうだった。ギアも少ないから力ずくで、変速したように見せかける」(Blu-ray特典映像のインタビューより)。
 こうした困難を乗り越えて撮影されたタイムマシン・デロリアンは映画史上に残る乗り物として賞賛された。そして、デロリアンという車は間違いなく『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のおかげで世紀を越えてファンに愛される車となったのだ。

ー劇場公開後ー

 映画公開後にはデロリアン・モーター・カンパニーの社長ジョン・Z・デロリアンから直接お礼のファンレターが届いた。ちなみに、デロリアン・モーター・カンパニーは映画公開の頃は既に廃業しており、デロリアンのブランドは新たなオーナーに引き継がれていた。するとそのオーナーからユニバーサルの法務担当宛てに映画の中で許可なくデロリアンを使用したことに対する訴訟をするという手紙が届いた。そこでゲイルはジョン・Z・デロリアンから届いたファンレターを写しを相手に送りつけるとその話はそれっきりなくなった。
 また、続編が決まると、その新しいデロリアンの会社のトップのある人物からこんな申し出が。「80万ドル支払えば、映画の最後に出てきた様な飛行型デロリアンを作ることができる」。ゲイルは「空を飛ぶデロリアンの撮影には特殊効果を利用するほうがいいと考えている」と返事。彼らが本当に空飛ぶデロリアンを作ることができたかはもちろん不明である…。PART1公開当時には国防総省から「ミスター・フュージョンについて何を知ってるか教えろ」と言われたり、人気作には変な手紙がいっぱい届くんですね。

ー続編のデロリアンー

 続編を製作にあたって、デロリアンは新たに3台購入された。PART1で使われたデロリアンは1台とC車は倉庫にあり、もう1台はユニバーサル・ツアー用に展示されており、その3台も再び集められ修理を行う一方、新たに購入したデロリアンにも初代デロリアンと同じデザインが施された。当時、購入した中古部品を再び購入することは困難だったが、続編は予算が大幅に増えたためオリジナル部品を製作して装飾された。また新たなスタッフとしてメカニカル効果スーパーバイザーとしてマイケル・ランティエリが迎えられた。
 前回の撮影の反省を踏まえ、少なくとも2台は高性能なフォルクスワーゲンの新しいエンジンと数多くの新部品で完全に改修され、性能とスタミナは改善された。また、PART2の飛行シーン用にファイバーグラス製で作られた軽量な車も製作された。PART3のホワイトウォール・タイヤのデロリアンと列車の車輪の付けたデロリアンがそれぞれ2台ずつ用意されたようです。列車の車輪の付けたデロリアンはB車と新たに購入された1台が使用されている。

撮影の過程で、1台の車から部品を外して他の車に付けるというようなことも行っている。常に予備の車があるということは故障の際にもすぐに代わりきくので、このような数々の前作の教訓と豊富な予算のおかげで続編でのデロリアンに関する問題は遥かに楽になった。
 また管理人独自の考えではあるが、新たに購入された3台の内、1台はPART2撮影時は運転席のシーンの撮影用にC車のように切断されたのではないかと思っています。PART1時は車内シーンはマーティ1人でよかったが、PART2は最大4人(マーティ、ドク、ジェニファー、アインシュタイン)が乗ったり、助手席側のサイドカット、助手席のドアガラスからのカット、フロントガラス側から車内を撮るシーンなど撮影のパターンが何倍も増えたため新たに用意されたのではないかと。空に浮いている感じも取らないといけないし…(全然違っていたらすみません)。

ー撮影終了後のデロリアンー


ピータソン自動車博物館内に展示されるA車

 最後に撮影に使われたデロリアンたちのその後について。劇中ラストのデロリアンが破壊されるシーン。こちらは3部作にわたって活躍したB車が使われている。そして、C車と追加で購入された1台とファイバーグラス製は撮影終了後に廃棄された。現在でも残っているのは3台。まず、3部作にわたって活躍し完璧な装飾を持ったA車。こちらは撮影終了後、長年にわたってユニバーサル・スタジオの敷地内に野ざらしで放置されてボロボロの状態だった。そこでボブ・ゲイルがこのA車の修復計画を立ち上げ、ジョー・ヴァルザー、テリー・マタラス率いる熱烈なBTTFファンを集め「タイムマシン修復チーム(Time Machine Restoration)」が発足。2011年から1年かけてA車の修復が行われた。痛んでいる部品を交換したら、その部分はレプリカになってしまうということで、ネジの一本まで修復できるもの修復するというこだわりプロジェクトだった。その様子は30周年Blu-rayのボーナスディスクに収録。その復活したデロリアンは2016年4月20日よりユニーバサルから離れて「ピーターソン自動車博物館(Petersen Automotive Museum)」内にて常設展示されている。残り2台のうち、1台は「ユニバーサル・スタジオ・オーランド」内で機関車タイムマシンと一緒に展示。最後の1台は、PART3にて1955年で改造されたホワイトウォール・タイヤ型で、2011年にオークションに出品されニューイングランドに住む親子が落札。この親子も熱心なBTTFファンで、PART3で実際に撮影で使用されたマーティが乗った4×4のトヨタ車などと一緒に、訪れた見学者向けに公開している。

8人乗りデロリアン
 PART3のラストで時の旅人になったドクの新たな夢。それが1991年に設立された「フューチャー・テクノロジー研究所(The Institute of Future Technology)」。
 ここでドクは人生最大の発明品を改良して『8人乗りデロリアン』を開発した。次元転移装置はコクピット側に移され、小さなモニターが付いているのが特徴。さらに他のタイムマシンがどの時代にいるかがわかる「4次元タイムトラッキングスキャナー(sub-ether time-tracking scanner)」を新たに装備。
元々は研究所へ見学を来た人々を1日タイムトラベル体験を行う予定だったが、ビフ・タネンがデロリアンを奪ったことで時空を超える追走劇に発展することになった。
 ドク曰く「そこで私が開発したのが科学の粋を集めた究極のこの1台。8人乗り新型デロリアン・タイムマシンだ。より速く、燃費も抜群、その上スマートなコンバーチブルタイプ。未来の天気はわからんが、もしわかるなら晴れの日を選ぶべきだな。曾々曾孫たちのドライブも、時代を越えたグループ交際もこのマシンなら不可能じゃない。だが、タイムトラベルにはもっと真剣な態度で臨むべきだ。特に君たちはね。いいかね、この事はトップシークレットだ」(ザ・ライドでのドクの解説より)。

パーシヴァルのデロリアン(『レディ・プレイヤー1』より)
 2018年に公開された『レディ・プレイヤー1』では主人公ウェイドことパーシヴァルの愛車としてデロリアンが大活躍した。基本的にはPART1のデザインは一緒だが、『ナイトレイダー』に登場する人工知能K.I.T.Tが搭載されており、フロント部分にはセンサーライトが設置されている。またPART1仕様ながら飛行機能もついており、タイムサーキットの時刻もPART2の2015年から帰る直前の時刻になっている。ナンバープレートは"OUTATIME"などではなく"PARZIVAL"。劇中では冒頭のレースからクライマックスまで映画の顔として大活躍を果たした。これ以外にも映画ではウィルソン市長の選挙ポスターが出てきたり、「ゼメキスキューブ」を使用するとBTTFのテーマが流れたりファンにとってはたまらない作品だった。
 原作である『ゲームウォーズ』のデロリアンのデザインは、映画版に加えて『バカルー・バンザイの8次元ギャラクシー』に出てきた物質を取り抜ける装置「オシレーション・オーバースラスター」が装備されている。さらに、両ドアには『ゴーストバースターズ』のロゴが貼られ、ナンバープレートもゴーストバスターズの「ECTO88」となっている。ちなみに、原作者のアーネスト・クラインは映画化に伴いデロリアンを購入し、小説版に合わせた改造を行なった。