ゼメキス監督はいくつかのインタビューの中でホバーボードについて
「ホバーボードは磁力で浮き上がる板で、車輪がなく、道がなくても走れるスケボーみたいなものだ。何年も前からあるが、子供が怪我することを世の親たちが心配して、売らないように玩具メーカーに圧力をかけて製造が中止されているんだ。それを手に入れて映画で使った。」
と述べたが、あれはジョークであり、実際は新旧の特撮技術を組み合わせて撮影されたのだ。
その一
基本的はホバーボードの撮影は普通のスケボーが使われた。広場にスロープ(←写真)を張り巡らせてスイスイ飛んでるように見せた。
その二
さらに、自然な動きに見せるためにドリーを使うこともあった(←写真)。ドリーとはカメラを移動させながら撮影する際に使う台車のことであり、メイキング映像でもよく見る物である。それに人を乗せて宙に浮いているように見せた。
その三
ゼメキス監督が考案した特殊な装置をクレーンから吊り下げ、実際に俳優を浮かせた(←写真)。この装置には地上30メートルにハンドルがついていて、その装置に特殊効果係りが張り付き(左下の写真)、俳優はその下にぶら下がっている。クレーンが動いてアクションが始まると、特殊効果係がハンドルを操って俳優の方向をコントロールするのだ。

その四
ホバーボードにワイヤーをつけて(←写真)、人間が乗り、ボードの動きに体を合わせる。だが、映像はその逆に見える。
その五
乗り手の体をワイヤーで吊るし、ホバーボードを靴の裏に張り付ける。
その六
クローズアップの時のいくつかは靴とホバーボードの中に、270キロの物体でも引きつけることができる強力な磁石が埋め込まれ、乗り手が吊り上げられるとホバーボードが磁石の力でピッタリとくっついた。
その七
そして、最終手段が合成(←写真)である。
おまけ
マーティがジープにつかまるシーンはユニークなアイディアを利用した。カメラをまず、マーティの上半身を映す。その時マーティ(ホバーボードは靴に打ち付けてある)はジープに引かれている移動車の上に乗っている。カメラが下半身へ動くと上からブランコ(←参考写真)がカメラに写らないように降りてくる。マーティがブランコにしがみつくと、移動車は去っていき、マーティは車につかまってホバースキーをしているように見えると言うわけ。