BACK TO THE FUTURE 全セリフ集
ホームBack To The Future's Room
注:『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のテレ朝版(三ツ矢雄二版)の吹き替え版を中心にしていますが、
本来の英語のセリフに準じているいるため所々で吹き替えとは異なっています。
基本名前・名称は原語に合わせています。また日本語に分かりやすく意訳しているのは管理人判断で原語訳に直しました。

①オープニング

 1985年10月25日-朝-ドクのガレージ

ラジオ「10月は在庫セールです。ただいま、スタットラー・トヨタでは1985年式のトヨタ車すべてを本年最高の価格で提供しています。ヒル・バレーにおきまして、これ以上の車、価格、そしてサービスは、どこにもありません。ヒル・バレーのダウンタウンにあるスタットラー・トヨタでは・・・」

キャスター「今日、上院の決議が行われるでしょう。次のニュースです。パシフィック原子力調査研究所のプルトニウム紛失事件ついて2週間前に貯蔵庫から盗まれていたという噂を研究所は強く否定してきました。既にリビアの過激派から犯行宣言を行っていますが、今も尚、研究所は書類上のミスだったという主張曲げていません。FBIは現在調査中ということで、一切のコメントは避けています。次に天気予報です。今日の日中は穏やかな天気になりそうですが・・・」

マーティ「ドク?ドク!ねぇいないの?アインシュタインどこだい?(口笛)いやーどうなってんだこれ?うえー、何だよ。すげぇ散らかりよう。すげぇや」

マーティ「オー!ロックンロール!」

マーティ「はい?」

ドク「マーティか?」

マーティ「やぁ!ねぇ!ドク、どこにいるの?」

ドク「捕まってよかった。今夜1時15分にツイン・パインズ・モールに来てくれ。すごい実験をやるんで助手がいる」

マーティ「ねぇ待って。夜中の1時15分?」

ドク「そうだ」

マーティ「ねぇ、どうなってんのよ。一週間も雲隠れて」

ドク「仕事だ」

マーティ「アインシュタインも一緒なの?」

ドク「あぁ、ここにいる」

マーティ「家の機械一週間つっけぱなしだよ」

ドク「機械?それで思い出した。アンプは使わない方がいいぞ。ちょっぴりオーバーロードするから」

マーティ「らしいね。覚えておくよ」

ドク「うん。じゃ今夜な。忘れるな!午前1時15分にツイン・パインズ・モールの前だぞ」

マーティ「OK」

ドク「私の時計か?」

マーティ「そう。今、丁度朝の8時」

ドク「いいぞ!私の計算通りだ!きっかり25分遅れにさせるのに成功した」

マーティ「なんだって?待ってよドク。じゃホントは今8時25分なの?」

ドク「その通り!」

マーティ「やばい!また遅刻だ!」

歌 パワー・オブ・ラブ

②最悪な一日

 朝-ヒル・バレー高校 入り口

マーティ「やぁ!ジェニファー」

ジェニファー「マーティだめよ、こっちは。ストリクランド先生見つかる。今日捕まったら4日連続でしょ?」

 朝-ヒル・バレー高校 廊下

ジェニファー「いいわ。セーフ。大丈夫みたい」

マーティ「今日は僕のせいじゃないんだ。ドクの所の時計が25分遅れててさぁ」

ストリクランド「ドク?マクフライ、君はまだブラウン博士のところに出入りしとるのか。ツツツ、遅刻の反則切符だ。君にも、今日で4日間連続だな。いい機会だ、君に忠告しておこう。あのブラウン博士は危険人物だから注意した方がいい。関りあってるとろくなことにはならんぞ」

マーティ「えぇ。そうですか」

ストリクランド「態度が悪いぞ、マクフライ。実にたるんどる。君を見てると君の父親を思い出すよ、同じだった。」

マーティ「もう行っていいですか?ストリクランド先生」

ストリクランド「今日の放課後、ダンスパーティーのバンドのオーディションを受けるそうだが、どうせムダじゃないのか。君は親父と同じで何をやらせてもだめだ!マクフライ家の人間は代々落ちこぼれと相場が決まったとるん!」

マーティ「僕が変えて見せますよ」

 昼-体育館

ヒューイ・ルイス「次のグループ」

マーティ「僕らは・・・バンドの名前はピン・ヘッドです」

バンドのメンバー「1、2、3・・・」

ヒューイ・ルイス「もう結構だ。音が大きすぎる。おおい!やめろ、やめろ。おい!やたらに音が大きくて騒々しすぎる。次のグループ」

ヒューイ・ルイス「ステージを空けたまえ」

 昼-時計台前広場

宣伝カー「こちら市長のゴールディ・ウィルソンです。次の市長選挙には進歩と改革の男。私、ウィルソンをもう一度市長にさせて下さい」

マーティ「絶望だ。これでミュージシャンへの夢は永久に消えた」

ジェニファー「選考に落ちたくらいでそう決め込むのは早いわ」

マーティ「だめだよ。僕にはきっと才能が無いんだ」

ジェニファー「あるわよ、マーティ。絶対ある。このオーディションテープ最高だもの。レコード会社に送ってみれば?ドクがいつも言ってるでしょ・・・」

マーティ「ああ、わかってるよ。『何事も成せば成る』だろ?」

ジェニファー「うーん?いい言葉じゃない」

マーティ「そりゃそうだけど。もし、このテープ送ってはねられたって・・・、それを思うと怖いだ。『どう見ても見込み無い』なんて言われたらそれこそガックリきて二度と立ち直れないよ。なんだか親父に似てきたいみたい。」

ジェニファー「あら?いいお父さんじゃない。明日、車貸してくれるんでしょ?」

マーティ「見ろよ!4WDだ!イカしてる。手に入れるぞ、いつかきっと。すごいだろうなあ、あんな車で湖へ行けたら。後ろに二人分、スリーピングバッグを積んださ。綺麗な星なんか眺めちゃって」

ジェニファー「だめよ・・・。お母さん知ってるの?明日の夜のこと」

マーティ「知るわけ無いだろ?男ばっかりのキャンプだと思ってるよ。君と二人行くなんてわかったらぶったまげるだろうな。そして、得意のお説教がはじまる『母さんの頃はそんなこと考えもしなかったわ』。よぽっどモテなかったんだね」

ジェニファー「あなたをまともな子に育てたいのよ」

マーティ「そいつは失敗だったらしいな」

ジェニファー「そうね」

おばさん「時計台を守る運動にぜひご協力ください。ウィルソン市長はあの時計台の交換案を発起しています。30年前の1955年に雷が落ちて以来、あの時計は止まったままになってます。私たちヒル・バレー保存協会はあの時計台を保存すべきだと訴えています。歴史の貴重な遺産なんですから」

マーティ「カンパしますよ。おばさん」

おばさん「ありがとう。チラシをどうぞ。時計台を守りましょう!」

マーティ「なんだっけ?」

ジェニファー「ここから」

ジェニファー父「ジェニファー!」

ジェニファー「ああ、パパだわ。行かなきゃ」

マーティ「夜、電話する」

ジェニファー「ああ、おばあちゃんの家にいる。待って!番号教える。じゃあね」

歌 パワー・オブ・ラブ

 夕方-マーティの家

無線「了解。このぶつけた車の運搬が終了次第、西6丁目58に行ってくれ。今日は衝突事故の大売出しだ」

マーティ「ひでぇ・・・。やってくれるよな」

ビフ「全くあきれて物も言えねぇ!いったいどういうつもりなんだジョージ?あんな欠陥車を黙って貸すとは、俺を殺す気か?」

ジョージ「いやいや、待ってくれビフ。もしあの車に欠陥があったとしたら、毎日乗ってる僕が気づくはずだろ?お帰り。」

ビフ「じゃ欠陥車じゃないってのか?だったらぶつかるわけ無いじゃないか?」

ジョージ「まぁとにかくあの通り、壊れてしまったんだ。修理代は君の保険で払ってもらえるかな?」

ビフ「俺の保険で?お前の車だろ?自分の保険で直せよ。これだってあんだぞ。衝突した時にビールをもろに浴びたんだ。このクリーニング代、誰が出す?」

ジョージ「いや、だからそれは・・・」

ビフ「報告書はできてるのか?」

ジョージ「ああ、あれね。実はまだ仕上げてないんだ。出すのはもう少し先だと思って・・・」

ビフ「もしもし?誰かいますか?お前、脳天空っぽか?考えてみろ!タイプして出さなきゃならないだぞ?そのまま出したりしたら、お前の字だってことがすぐにわかる。代筆がバレてたちまちクビだ。それとも俺がクビになれやいいってわけか?」

ジョージ「・・・」

ビフ「どうなんだ?」

ジョージ「ノー!僕がそんなこと思うわけ無いじゃないか?」

ジョージ「ああ、わかったよ。今夜徹夜してでも必ず仕上げる。明日朝一番に届けるから、んでいいだろ?」

ビフ「明日は土曜日だ。早いのは困るぞ。おい!靴のひもが!」

ジョージ「ぬおお!はっはっはっ」

ビフ「とろい奴だよ、お前は。その割りにいいうちに住んでるが」

ビフ「ブッ潰れた車をわざわざ届けてやったのに、ライト・ビールしかないのか?」

マーティ「・・・(怒)」

ビフ「なに馬鹿面して見てる?お袋さんによろしくな。」

ジョージ「お前の言いたいことはわかってるよ。その通りだ。面目ない。だけどな、ビフは会社の上司で頭が上がらないし、正直言って父さん、ケンカが苦手だから」

マーティ「でも、見てよあの車。あいつがやったんだろ?完全にお釈迦だ。明日の晩どうしても車がいるんだ。僕にとっちゃ重大なことなんだよ、父さん。どうしてくれるの?」

ジョージ「それば何とかしてやりたいけど、ホントにすまん」

 夜-マーティの家 リビング

ジョージ「しかしな、マーティ。オーディションに落ちてむしろよかったんじゃないのか?パーティで演奏するなんて頭が痛くなるだけさ」

デイブ「そうだぞ、マーティ。お前それ以上頭が悪くなったら困るだろ?」

ジョージ、デイブ「はっはっはっはっ・・・。」

ロレイン「ねぇケーキ無駄だったわ。みんなで食べて。ジョーイおじさんの保釈は却下されたの」

ロレイン「みんなたまにはおじさんに手紙書いてあげて」

マーティ「刑務所に手紙出せっての?」

デイブ「母さんの弟だろ?」

リンダ「やだよ。おじさんが刑務所に入ってるっていうだけでも恥なのにさ」

ロレイン「誰にだって間違いはあるわ」

デイブ「ヤバイ!また。くそっ!遅刻だ」

ロレイン「デイブ!なんて言葉使うの?忘れてることがあるでしょ?出かける前のキスは?」

デイブ「ああ、もうバスに遅れちゃうよ。それじゃね。行ってくるよ、くせー!オイル交換した方がいいんじゃないの?」

ジョージ「はっはっはっ、見たか今の?」

リンダ「ねぇマーティ?あたし電話番じゃないのよ。あんたが外で車眺めてふて腐れてる間にジェニファーから二度も電話があったわよ」

ロレイン「感心しないわね。男の子のうち電話をするような子はちょっと問題ですよ」

リンダ「いいじゃない別に。男の子に電話してもいいじゃない。」

ロレイン「だって、はしたないじゃない。女が男を追いかけるなんて。母さんが若いのころは一度だって男子を追いかけたことなんかなかった。車を止めて二人っきりでいたりとか」

リンダ「じゃあどうやってきっかけ作んのよ?」

ロレイン「大丈夫。自然に訪れるわ。ママとパパの出会いのように」

リンダ「バッカみたい。おじいちゃんがパパを車ではねたんでしょう?」

ロレイン「それが運命の出会い。とにかくね。あの事故が無かったらお前たち生まれてなかったのよ」

リンダ「それは言えてるわ。だけどそんな道の真ん中でパパいったい何してたの?」

ロレイン「何してたの、ジョージ。バードウォッチング?」

ジョージ「何の話だい?あい?」

ロレイン「とにかくおじいちゃんが車ではねて、うちに運び込んだの。父さんぐったりしてて。捨てられたの子犬みたいで胸が締め付けられるような・・・」

リンダ「ママ!その話なら何百万回も聞いたわよ。それでパパに同情して『海のお魚パーティー』とかに一緒に行くことにしたんでしょ?」

ロレイン「あら違うわ。『魅惑の深海パーティー』よ。それが初めてのデート。一生忘れない。あの晩はひどい雷だったわ、覚えてるジョージ?その晩、踊りながらパパと初めてのキスしてたのよ。その時ママは思ったの。この人と一生を共にするんだな」

ジョージ「あははは、そんな馬鹿な、はははは・・・。」

マーティ、ロレイン、リンダ「・・・」

 1985年10月26日-夜中-マーティの部屋

マーティ「はい?」

ドク「マーティ、寝てたんじゃないのか?」

マーティ「ああドク?いや寝てなんかいないよ」

ドク「なぁ実はうっかりしてビデオカメラを忘れたんだ。来る時うちによって取ってきてくれないか?」

マーティ「ああ、わかったよ。これからすぐ行くよ」

 夜中-ツイン・パインズ・モール

マーティ「アインシュタイン?おいアインシュタイン。ドクはどこだい?」

マーティ「ドク?」

ドク「マーティ。来てたのか?おい見てくれ。わたしの生涯を賭けた世紀の大発明だ」

マーティ「これデロリアンだろ?どっか改造したの?」

ドク「今に分かる。黙って見てろ」

マーティ「ああ、わかった」

ドク「ビデオを回して」

マーティ「OK」

ドク「さぁ早く」

マーティ「でもドク。それはデボ・スーツなの?」

ドク「いや、いいから、いいから。それは後だ」

ドク「こんばんは。私はドクター・エメット・ブラウン。ツイン・パインズ・モールの前にいます。1985年10月26日午前1時18分。これから第一回の時間実験を始めます。」

ドク「ほら、おいで!アイニー。車に乗るんだ。さぁ、乗って乗って。シートベルトを掛けるぞ。よしよしよし。」

マーティ「ああ待って。よし、こっちから。」

ドク「これを映して。アインシュタインの時計は私が持ってるコントロールウォッチと一致してる。撮ったか?」

マーティ「うん。バッチリ」

ドク「よし。じゃ、いい旅をな。頭に気を付けて」

マーティ「そのリモコンで動くの?」

ドク「行くぞ」

マーティ「うん、OK。いいよ」

ドク「私じゃない!車を撮れ!」

ドク「私の計算が正しければ時速88マイル(140キロ)に達した瞬間にぶったまげるようなことが起こる」

ドク「よく見ろ!見るんだ!」

タイムスリップ!!

ドク「あああ!やったぞ!大成功だ!言ったとおり時速88マイル(140キロ)ピッタリだ!次元超越の時刻は午前1時20分0秒だった」

マーティ「アチッ!ひどいよドク。アインシュタインが車といっしょに消えちゃった」

ドク「安心しろ、マーティ。消えたわけじゃない。アインシュタインも車もちゃんと別な次元に無事存在しとる」

マーティ「じゃ、じゃ、どこにいるのさ?」

ドク「それを聞くなら『どの時代』と言ってくれ。わかるか?アインシュタインは世界で初めてのタイムトラベラーってわけだ。私は愛犬を未来に送った。未来といってもほんの1分先だがな。正確に言うと1時21分0秒にあいつはタイムマシンでここに戻ってくる」

マーティ「ねぇ待って!待ってよ、ドク。それじゃさデロリアンをタイムマシンに改造したの?信じられないよ」

ドク「どこが気に入らん。どうせ車を使ってタイムマシンをつくるならかっこいいほうがいいだろ?それだけじゃない。デロリアンのステンレス・ボディは粒子の分散を・・・危ない!」

ドク「ひやーーー!」

マーティ「熱いの?」

ドク「いや、冷たい。凍り付いてる。ハハハー。無事だったか、アインシュタイン。見ろ!アインシュタインの時計はきっかり1分遅れでちゃんと動いてるぞ」

マーティ「何とも無かったの?」

ドク「見た通りだ。あいつは大変な旅をしたことも知らない。瞬間的な出来事で時間は経過してないんだ。だから時計が私のより1分遅れている。あいつは1分を飛び越え、次の瞬間にはここに戻ってきた。来てみろ、仕掛けを教えるから。」

ドク「まずタイムサーキットのスイッチを入れる。上が行きたい時間。中が行き先の現在時間。下が出発時間だ。年月日は自由にセットできる。合衆国独立宣言の調印の日であれば。キリストの誕生日なら。科学の歴史上記念日すべき日なら1955年11月5日だ。忘れもしない。あれは1955年11月5日だった」

マーティ「知らないけど何の日?」

ドク「私がタイムトラベルを思いついた日だよ。今でもハッキリ覚えてる。時計を壁にかけようと、トイレの縁に立っていた。すると便器が濡れていて、滑って洗面台のかどで頭を打った。気がついた瞬間に閃いたんだ。ビジョンが。ふっと浮かんできた。これの構想が。これこそタイムトラベルを可能にする物だ。次元転移装置」

マーティ「次元転移装置?」

ドク「あれから30年。それを実現するのに家も財産もそっくりつぎ込んだ。思えば長い年月だったよ。この町もすっかり変わった。その頃この辺りは見渡す限り畑だった。ピーボディのじいさんが土地を全部握っていた。これがまた変わり者で松の栽培に入れ込んでいた」

マーティ「イカシてる。最高にヘビーなデザインだね。これガソリンはレギュラーでもいけるの?」

ドク「ガソリンじゃムリだ。もっとパワーのあるやつじゃないと。プルトニウムさ」

マーティ「へぇープルトニウム。待って!じゃこれ核燃料使ってんの!?」

ドク「ほら、どんどん回して回して回して。いや、マシンの動力は電気だ。ただ1.21ジゴワットの電流を得るのには核反応が必要だ」

マーティ「でも、プルトニウムなんてその辺の店で買えるものじゃないだろ?…ひょっとして盗んだの?」

ドク「盗んだよ。リビア過激派の馬鹿な連中だ。連中はそのプルトニウムと引き替えに爆弾を作ってくれと頼みにきたから中古のピンボールで作ったニセ爆弾を送り返してやった。おいで!急いで燃料の入れ替えだ」

マーティ「大変だ」

ドク「もういいぞ!これで準備完了。テープを無くさんようにな。貴重な記録だ。こいつはここに閉まってといてと。おっとと、こいつを忘れるところだった。未来へ行って木綿の下着がないと困る。化繊アレルギーなんだ」

マーティ「未来?未来へ行くの?」

ドク「そうとも。25年先へ行ってみる。一度でいいから未来をこの目で見たかったんだ。人類がどこまで進歩するか」

マーティ「いいね」

ドク「ついでに25年分のワールドシリーズの勝敗もね」

マーティ「ねぇドク。僕の未来も見てきて」

ドク「いいとも・・。回せ」

ドク「私、エメット・ブラウンはこれより歴史的な旅に出発します。…何を考えてるんだ。帰りの分のプルトニウムを積んでなかった。一回の旅に一本、そいつを忘れるとはどうかしてるよ、まったく」

アインシュタイン「ワン!ワン!ワン!」

ドク「どうしたんだ、アイニー?」

ドク「こりゃイカン。奴らだ。どうしてここが分かったのか。逃げろ!マーティ!」

マーティ「誰?どうしたの?」

ドク「誰だと思う?リビア人だよ。」

マーティ「やばいぞ!」

ドク「私が引きつける」

マーティ「ドク、危ない!」

マーティ「やめろー!」

兵士「行けー!」

マーティ「もっと早く!行け!ほら。そうだ」

マーティ「くっそ!90(144キロ)を出せるなら出してみろ!」

タイムスリップ!!

③行き先は1955年

 1955年11月5日-朝-ピーボディ農場

マーティ「ひああああ!!あーーーーーーー!!!」

エルシー「ねぇ、あんた。一体なんなのあれ?」

ピーボディ「飛行機じゃなさそうだな。翼がない」

シャーマン「飛行機じゃないよ、パパ。これさ」

ピーボディ一家「きゃあああああーー!!」

ピーボディ「みんな!早く逃げるんだ」

マーティ「ねぇ、待って」

牛「モーー」

マーティ「こんにちは。あのぅ、すみません。納屋を壊してごめんなさい」

シャーマン「パパ!宇宙人が人間に変身したよ。撃って!」

ピーボディ「化け物宇宙人め。これでもくらえ!」

シャーマン「待て!」

マーサ「パパ、早く撃って!」

ピーボディ「くそ!わしの大切な松を!宇宙人の化けモンめ、松を倒しよって!」

 朝-デロリアン

マーティ「いいか、マクフライ、落ち着くんだ。別に慌てることはない。こいつは夢さ。ちょっとばかりヘビーな夢を見てるだけなんだ」

 朝-リヨン団地建設予定地

マーティ「止まって。あの、ちょっと聞きたいんだけど」

おばさん「ウィルバー、ダメよ、止めちゃ。早く逃げて!」

マーティ「どうなってんの?」

マーティ「そんなバカな。頼むよ。ダメだ」

歌 ミスター・サンドマン

 朝-時計台前広場

宣伝カー「ヒル・バレーの未来はあなたの一票にかかっています。町の発展を願うならレッド・トーマス市長の再建を実現させましょう。トーマスは進歩と改革の人。新しい街づくりに取り組んで、雇用の機会を広げ、より良い教育と言明を・・・」

マーティ「これは夢に決まってる」

 朝-ルウズ・カフェ

歌 デイビー・クロケットのバラード

ルウ「どうしたボウヤ。船から飛び込んだのか?」

マーティ「えっ?」

ルウ「救命胴衣なんか着て」

マーティ「電話をかけたいだけど?」

ルウ「奥にあるよ」

マーティ「ブラウン、ブラウン、ブラウン・・・。あった。ちゃんと生きてる。出てよ!ドク」

マーティ「リバーサイドの1640番地って・・・」

ルウ「なんか注文しないのか?」

マーティ「あぁ、そうか。タブもらうよ」

ルウ「請求書のことか?注文が先だ」

マーティ「じゃあ、ペプシ・フリーある?」

ルウ「フリー?うちにはタダのものは置いてない」

マーティ「砂糖が入ってないやつの事だよ。何でもいいから」

ルウ「砂糖抜きだね」

ビフ「おい!マクフライ!そこで何してる?」

マーティ「ビフだ」

ビフ「お前に言ってるんだぞ、マクフライ。アイルランド虫」

ジョージ「いやービフ、こんちは。みんなもいっしょだったの?」

ビフ「お前宿題もうやったのか?」

ジョージ「ああ・・。あれ。でも、提出日は月曜だからまだ時間が・・・」

ビフ「ハローもしもし誰かいますか?なぁオイ!お前。脳天空っぽかい。全部書き直さなきゃならないんだぞ。そのまま出してみろ。お前の字ってすぐバレちまう。たちまち俺は退学だ。それとも俺が退学になれやいいってわけか?」

ジョージ「・・・・」

ビフ「どうなんだ?」

ジョージ「僕がそんなこと思うはずないじゃないか、ビフ」

ビフ「そんなことはねぇよな。何バカ面して見てんだよ」

スキンヘッド「こいつ救命胴衣着てやがんの。陸釣りで溺れないようにか」

ビフ「俺の宿題どうすんだよ?」

ジョージ「あああ。分かったよ、ビフ。それじゃあ、今夜徹夜してでも必ず仕上げる。明日の朝一番で届けるから。」

ビフ「明日は日曜だ。早すぎるなよ。おい!靴のひもが」

みんな「ははははは」

ビフ「全くとろいな、お前って奴は。こんな所に来るんじゃないぜ」

ジョージ「わかったよ。それじゃ明日」

ジョージ「なんだい?」

マーティ「あんたジョージ・マクフライ?」

ジョージ「あぁ。君は誰だい?」

ゴールディ「ちょっと、あんた。なんであんな奴らに言いたい放題言わせておくんだい?」

ジョージ「僕より強いからさ」

ゴールディ「しっかりしなよ。男のくせに根性ねぇな、あんた。その年で人の言いなりになっていたら一生踏みつけにされて暮らすことになるぜ。俺なんかよ。こんなちっちゃな店の皿洗いで一生終わる気はないぞ」

ルウ「おい!ゴールディ・ウィルソン」

ゴールディ「はったりじゃないぞ!いつか夜学へ行って勉強してだな、いつか一端の人間になってみせる」

マーティ「そうともあんた!市長になるよ!」

ゴールディ「とにかく・・・市長にか。そいつは良い考えだ。よーし市長に立候補するぞ」

ルウ「黒人の市長なんて聞いたこともないな」

ゴールディ「見ててくださいよ、カラザーズさん。なってみせるから。俺はヒル・バレーで一番えらい市長になってどこよりもきれいな町にするんだ」

ルウ「そうかい。まず、ここの床からきれいにしろ」

ゴールディ「ゴールディ・ウィルソン市長。なかなか良い響きだな」

マーティ「父さん、あ・・ジョージ。その自転車待ってくれよ」

 朝-住宅街

マーティ「単なるのぞき魔じゃないか」

ジョージ「あぁぁ、ああああーー!!」

マーティ「父さん!」

サム「おおい。誰だ君は!?ステラ!馬鹿な子供がいきなり車の前に飛び出してきた。うちへ運ぶから手を貸してくれ」

 夕方-ロレインの部屋

マーティ「母さん?母さんだろ?」

ロレイン「あぁ、大丈夫よ。安心して。9時間もずっと眠ってたのよ」

マーティ「あっそ。ひどい夢見たよ。何十年も前の過去へ旅をして、怖かった」

ロレイン「そう。でも、安心して。あなたはちゃんと1955年に戻ったの」

マーティ「1955年!?」

マーティ「君は僕の、ぼ、ぼ、僕の」

ロレイン「あたしロレインよ。ロレイン・ベインズ」

マーティ「あああ・・・。だけど、あ、アンタは、君は、その、と、とっても・・でぇ・・へぇ・・・痩せてる!」

ロレイン「寝てなきゃダメだわ、カルバン。あなたは頭に大きな傷ができてるのよ」

マーティ「へぇ・・・だぁえぇぇぇーー!僕のズボンは?」

ロレイン「あそこよ、タンスの上。紫の下着なんてはじめて見たわ、カルバン」

マーティ「カルバン?どうして僕がさっきからカルバンなんだい?」

ロレイン「あなたの名前でしょ?カルバン・クラインって。下着にそう書いてあるわ」

マーティ「でぁあああ・・・」

ロレイン「お友達はカルって呼ぶのかしら?」

マーティ「いや、僕の名前はマーティだよ」

ロレイン「そう。はじめまして、よろしく。カルバン・・・マーティ・・・クライン」

ロレイン「ここ座ってもいい?」

マーティ「いいよ。もちろん!いいさ。いいとも」

ロレイン「あら、本当に大きな傷が出来てるわ」

マーティ「あぁ。あーー!」

ステラ「ロレイン!お部屋にいるの?」

ロレイン「ひぁぁ!!大変ママだわ。はやく、ズボン履いて!」

マーティ「うぁぁーーー!!」

 夕方-ロレインの家 リビング

ステラ「マーティ、船はいつ港に入ったの?」

マーティ「港?」

ステラ「船乗りでしょ、すぐわかったわ。救命胴衣を着てるから」

マーティ「あぁ、沿岸警備隊です」

ステラ「あぁ、サム。見て頂戴、もうすっかり元気になったわ。大事にならなくて良かったわね」

サム「君のような年の子が、道の真ん中で何をやってたんだ!」

ステラ「あぁ、気にすることないわよ。虫の居所が悪いのよ。サム、テレビはいいから食事にしましょ」

ステラ「えっと、ロレインはもう知ってるわね。ミルトンとこの子はサリー、それからトビー。向こうのサークルに入ってるおチビちゃんはジョーイ」

マーティ「ジョーイおじさんか。いまから檻に入る練習ね」

ステラ「ジョーイはサークルの中がお気にいりで、そこに入ってるとご機嫌なのねー。出すと泣くもんだから、いつもこうしてほっとおくの。マーティあなたミートローフ好きかしら?」

マーティ「ええ。でも、あの、僕、うわぁ。」

ロレイン「ここに座って」

ステラ「サム、いつまでそれいじってるの?食事が済んでからにしたら?」

サム「オーホーホー、見ろ。写ったぞ!ジャッキー・グリースンだ。見ながら食べよう」

ステラ「えぇ。いいわね」

ジャッキー「あははは。私は宇宙人だぞー」

ロレイン「うちではじめてのテレビよ、今朝届いたばっかり。お宅テレビは?」

マーティ「ああ、テレビなら2台ある」

ミルトン「すっげー、お金持ちなんだね」

ステラ「バッカねぇ、ハニー。からかってるのよ。テレビが2台あるうちなんかないわ」

マーティ「ねぇ!僕これ見たよ、前に。かなり古い番組だ。ラルフは自分が宇宙人に扮するやつだよ」

ミルトン「どういうこと、これ見たって?新番組だよ」

マーティ「いやぁ、でも、見たんだ。再放送で」

ミルトン「再放送って?」

マーティ「その内わかるよ」

ステラ「ねぇ、どっかであったような気がするの。お母さんとかしら?」

マーティ「えぇ、知り合いかもね」

ステラ「じゃあ、電話して事情を説明するわ。きっと心配してらっしゃるでしょ」

マーティ「ダメです!いや、その、今うち誰もいないから。旅行中で」

ステラ「そう」

マーティ「えぇ」

ステラ「じゃあ」

マーティ「あ!そうだ。リバーサイド通り1640ってどのへんですか?」

サム「町の反対側だよ。メープル通りの先。東のはずれだ」

マーティ「メープル通りの先っていうと確かジョン・F・ケネディ通りですよね」

サム「なんだい、そのジョン・F・ケネディって?」

ロレイン「ママ。家の人いないだったらマーティのこと、今夜はうちに泊めてあげたらどうかしら?パパが車ではねてもうちょっとで死ぬとこだったのよ」

ステラ「それもそうね。今夜はうちに泊まってらっしゃい。うちとしても責任があるし」

マーティ「でも、どうしようかな」

ロレイン「あたしの部屋で寝てもらって」

マーティ「いえ!帰ります、帰ります、ぼく。いろいろ、どうも、お世話になりました。じゃあ、またいつか。・・未来でね」

ステラ「なんだが、変わった子ね。あの子」

サム「いかれとんだ。あれじゃ両親もきっとろくなもんじゃないな。ロレイン!お前が将来あんな子を産んだら勘当だぞ」

 夜-ドクの家の前

マーティ「ドク」

ドク「何にも言うな!」

 夜-ドクの家

マーティ「あっ!ドク」

ドク「名前も素性いっさい言うなじゃないぞ」

マーティ「あのね、ドク」

ドク「だまれ!」

マーティ「聞いてよ、僕はマーティって言うんだ」

ドク「何にも言うなと言ってるだろ。黙って、静かに。君の頭の中を透視する。えっと、きみはどっか遠いところからやって来た」

マーティ「そう!その通り」

ドク「喋るんじゃない!ああ、君は『サタデー・イブニング・ポスト』の定期購読の勧誘に来た」

マーティ「違うよ!」

ドク「何も言うな!一言もだ。黙って。寄付だ、寄付集めにやってきたんだろ。沿岸警備隊の青年支援団体」

マーティ「ドク。僕は未来からあなたが発明したタイムマシンで乗ってきたんだ。元の世界に帰るように手を貸してよ。1985年だ」

ドク「そんなばかな。それがどういう意味か分かるか。私が作ったこの透視装置は何の役にもたたんガラクタと言うことだ。この半年、心血を注いだのに」

マーティ「ドク、助けてよ。タイムマシンの仕掛けを知ってるのはあんただけなんだから」

ドク「タイムマシン?そんな物を発明した覚えはない」

マーティ「待って。ちゃんと証拠がある。これ僕の免許証だ。1987年まで有効。生年月日見てよ、まだこの世は生まれてないんだよ。あ!それからこの写真、兄さんと姉貴と僕。このトレーナーの字を見て。1984年卒業クラスってほら」

ドク「チャチな写真トリックなんか使うから、見ろ。兄さんの髪がない」

マーティ「全部本当のことさ。ねぇ、信じてよ」

ドク「じゃあ、聞くがな。未来少年くん。1985年のアメリカ大統領は誰だ?」

マーティ「ロナルド・レーガン」

ドク「ロナルド・レーガン!俳優の!?じゃあ、副大統領はジェリー・ルイスか」

 夜-ドクの家 中庭

ドク「大統領夫人はさしずめジェーン・ワイワンってとこだ」

マーティ「ドク!待って」

ドク「それで財務長官はジャック・ベニーだろ」

マーティ「お願いだから聞いてよ」

ドク「お前さんの冗談に付き合ってる暇はない。お休み、未来少年くん」

マーティ「待って、ドク。おでこのその傷にどうして出来たか知ってるよ。あんたが全部話してくれたもん。便器に立って時計を掛けようとしてたら、落ちて、洗面台で頭を打ったんだ。その時、次元転移装置の構想を思いついた。つまり、それがタイムトラベルを可能にする装置なのに」

 夜中-リヨン団地建設予定地

マーティ「スターターの調子がおかしいんだ。だから、隠しておいたの、ここに」

ドク「トイレで転んだ後これを書いた」

マーティ「次元転移装置だ」

ドク「すごいぞ!ははは。ついにやった!私はとうとう使える物を発明したんだ」

マーティ「確かにこいつは使えるよ」

ドク「研究室に運んで整備しよう。君が家へ帰れるように」

 1955年11月6日-夜中-ドクの研究室

マーティ「ドク、これ見て」

TVのドク「いいから、いいから。黙ってみてろ」

ドク「おい!私だ。見てくれ!あんなに年をとって。よかった、ちゃんと髪があるぞ。私が着てる服は?」

マーティ「ああ、これは放射能スーツだよ」

ドク「放射能スーツ?そうか。原爆戦争があったら灰が降るからな。しかしこれは、すごい発明だ。携帯テレビスタジオとでも言うか。俳優が大統領になるわけだ。テレビ写りもいいし」

マーティ「あっ、ここだよ。ここん所よく聞いて」

TVのドク「いや、マシンの動力は電気だ。だが、1.21ジゴワットの電流を得るには核反応が必要なんだ。そのためにプルトニウムを・・・」

ドク「今なんて言った?」

TVのドク「どんどん回して。動力は電気だ。だだ、1.21ジゴワットの電流を得るには核反応が必要が」

ドク「何!!1.21ジゴワットだって!1.21ジゴワットの電流。めちゃくちゃだ!」

マーティ「ねぇ、ジゴワットって一体何なの?」

 夜中-ドクの家 リビング

ドク「私は浅はかだった。1.21ジゴワットなんて、馬鹿なそんな強力な電気が作れるか。逆立ちしたってできっこない。なぁ、トム」

マーティ「ドク、ねぇ、プルトニウムが少しあればいいんだよ」

ドク「ははぁ。1985年にはそこの店で手軽に買えるかもしれないが、今は55年だぞ。手に入れるのは不可能だ、マーティ。気の毒だが君はここに足止めだ」

マーティ「そりゃないよ、ドク。なんとしてでも未来に帰らなきゃ。僕には僕の生活があるんだ。ガールフレンドもいるし」

ドク「美人か?」

マーティ「とってもイカしてる。僕に夢中なんだ。ほら、見て。これ彼女が書いたんだよ”アイ・ラブ・ユー”って。ねぇ、ドク。あんただけが頼りだ」

ドク「すまんがダメだ。1.21ジゴワットの電流を出すのは今の時代では稲妻ぐらいしかない」

マーティ「何だって?」

ドク「稲妻だよ。残念ながら雷はいつどこで落ちるかわからん」

マーティ「分かるよ」

ドク「そうか、これだ。こんな所に答えが。55年、時計台に雷が落ちたと書いてある。時間は午後10時4分。来週の土曜日だ。その瞬間に何とか稲妻を捕まえてその電流を次元転移装置に送り込めばいい」

ドク「大丈夫、まかせてくれ。来週の土曜日の夜、君を未来の世界へ戻してやるぞ」

マーティ「土曜日か。やったね、丸1週間ある。55年の世界をたっぷり見物できるぜ。この辺りを案内してよ」

ドク「いーかん!見物なんてとんでもない。一歩もここから出ちゃいかん。人に会って話をしたりすれば、未来の出来事に重大な影響をでるかもしれんぞ。わかるか、おい?」

マーティ「ああ、そうか。わかってる」

ドク「マーティ、ここへ来てから私以外の人間と接触してないか?」

マーティ「そういえば、僕の父さんと母さんになる人に出くわしたよ」

ドク「もしかすると、さっきの写真をもう一度見せてくれ」

マーティ「あぁ写真?」

ドク「こりゃいかん!思った通りだ。兄さんを見てごらん」

マーティ「顔がなくなってる。消しゴムで消したみたいに」

ドク「存在が消えかかってるんだ」

④両親を結ばせる

 1955年11月7日-昼-ヒル・バレー高校の前

マーティ「へぇ〜、昔はきれいだったんだね。建ったばっかり?」

ドク「なぁ、いいか。君は両親の最初の出会いを邪魔した。2人が会わなきゃ結婚はしないし、子供もできない。それで、写真の兄さんが消えかかってるんだ。次は姉さん、そして最後には君も消えてしまう」

マーティ「そいつはヘビーだな」

ドク「重さとは関係ない」

 昼-ヒル・バレー高校の廊下

ドク「親父さんいるか?」

マーティ「あ・・、あれだよ」

いじめっ子「ほれっ!」

ジョージ「やめろよ、よせよ君たち。ふざけてるのか。いたぁ〜い!しつこいなぁ、もう。調子乗って」

ドク「君は養子か?」

ジョージ「これくらいで冗談は終わりにしよう。あっ、とっ!ヤダぁ、ひどいな。拾えよ、ディクソン」

ストリクランド「マクフライ!」

マーティ「ストリクランドだ。昔からツンツルテンだったのか」

ストリクランド「もっとしっかりしろ!からかわれてるんだぞ。君は一生、たるんでいたいのか」

ジョージ「いえ」

ドク「お袋さんはどこに惹かれたんだ?」

マーティ「僕にもわかんないけど、たぶん自分の父親が車で撥ねたから同情したんじゃないの?でも、僕が飛び出して代わりに」

ドク「ナイチンゲール症候群だな。病院の看護婦が患者に惚れるあれだよ。さぁ、行くんだ」

ジョージ「参るな、本当に・・・」

マーティ「やっ!ジョージ。どうだい?君の事ずいぶん探したよ。覚えてるだろ?この前、命を助けてやったじゃないか」

ジョージ「あっ。あの時の」

マーティ「ねぇ、会わせたい娘がいるんだ」

マーティ「ロレイン」

ロレイン「カルバン!」

マーティ「紹介するよ、友達のジョージ・マクフライ」

ジョージ「や!はじめまして、よろしくね」

ロレイン「頭はどう?」

マーティ「いや、もういいの。すっかり」

ロレイン「そう。あなた急に帰っちゃうんですもん。心配したわ。本当に大丈夫?」

少女「授業が始まるわよ」

ロレイン「あたし行くかなくちゃ」

少女「早く!」

ロレイン「彼、最高に素敵!」

マーティ「ドク。ダメ、全然脈なしだよ」

ドク「やっかいなことになってきたぞ。お袋さんは親父さんじゃなくて君にのぼせてるらしい」

マーティ「えぇ!待ってよドク。母さんがこの僕に…恋しちゃったっていうの?」

ドク「その通り!」

マーティ「あぁ、ヘビーだ」

ドク「また言ったな、ヘビーって。地球上の重力変化が起きて未来ではそんなに物が重いのか?」

マーティ「え?」

ドク「いやいや、それはいいが。とにかくなんとかあの二人を結びつけきゃ。それには、まず2人きっりになる状況が必要だ。なんか、うまいきっかけで。へぇー・・・」

マーティ「デートさせれやいいわけ?」

ドク「そうだ」

マーティ「でも、50年代のヤングがどんなデートしてたか知らないし」

ドク「しかし、自分の親だ。見当が付くだろ?2人で一緒に楽しむような共通な趣味は?」

マーティ「・・・ないよ」

ドク「見ってみろ!なんかリズミカルな催しがあるらしいぞ」

マーティ「これだよ、魅惑の深海パーティー。二人はこのパーティに行って、そこで初めてのキスをしたんだって」

ドク「よーし、決まった。君は親父さんに食らいついて何とかダンスに誘うように仕向けろ」

 昼-ヒル・バレー高校 食堂

マーティ「ジョージ!相棒!こないだ紹介した娘覚えてる?ロレインさ。何書いてんの?」

ジョージ「これ?小説だよ。空想科学小説なんだ。その、別の惑星から偶然地球に舞い降りた宇宙人の話で・・・」

マーティ「へぇ〜やるじゃん、意外と。そんな隠れた才能があるなんて知らなかったよ。あ、見して見して」

ジョージ「あ、ああーん。ダメダメ、ダメ。自分が書いたものは、まだ誰にも見せたことがないんだ」

マーティ「どうして?」

ジョージ「そりゃ・・・。もし、全然面白くないって言われたらショックだからね。・・・こんな気持ち、君にはわからないだろうな」

マーティ「あぁ、いや。僕だって経験がある。あ、話し違うけどさ、あのロレインって娘。君に気があるんだぜ。僕、頼まれちゃった。深海パーティーに彼女を誘うように君に言ってくれって」

ジョージ「本当かい?」

マーティ「もちろん。あそこにいるから、早く行って誘ってみな」

ジョージ「今、ここで面と向かって言うのかい?もし、断られたら・・・。そう思うととても怖くてダメだよ。第一、僕なんかよりもっといい相手がいる」

マーティ「へぇー、だれ?」

ジョージ「ビフだ」

ビフ「なぁ、ロレイン。こっち向けよ」

ロレイン「いやよ、やめて」

ビフ「そんな気取んなよ、本当はうれしいくせに。『いやいや、もっと』かぁ、ハハハ」

ロレイン「やめて!いやらしい。そんな女じゃないわ」

ビフの一味「お、お、おおー」

ビフ「どんな女か俺が味見してやろうじゃねぇか」

ロレイン「手を離してよ、汚らわしい。」

マーティ「聞こえたろ?てめぇのその汚ない手を・・・は、離せよ。よくないよ」

ビフ「おい、文句あんのか?やる気かてめぇ!」

ビフ「お前新顔だからな。今日は勘弁してといてやる。今日はな。だが、俺の気が変わらないうちにとっと失せろ」

 夕方-ジョージの家の前

マーティ「ジョージ!」

ジョージ「どうして、僕の後を付け回すんだ」

マーティ「待って、ジョージ。ねぇ、わかってくれよ。君がロレインをダンスに誘わないと僕は一生後悔することになる」

ジョージ「パーティーには行けないよ。土曜の夜は大好きなSF劇場の放送があるんだ」

マーティ「でも、ジョージ。ロレインはあんなに君と行きたがってるのに。かわいそうじゃないか」

ジョージ「悪いけど、僕は気が弱いんだ。ロレインを誘う度胸なんかないよ。君はもちろんだが、地球上の誰に言われても僕のこの気持ちは変わらないからね!」

マーティ「なるほど、SF劇場か」

 1955年11月8日-夜中-ジョージの部屋

ジョージ「あ゛あ゛あ゛ー!!き、君はだれだ?う゛わぁー!!」

マーティ「黙れ地球人。俺の名はダース・ベイダー。バルカン星からやってきた宇宙人だ」

 昼-時計台前広場

ジョージ「マーティー!マーティ!マーティ!」

マーティ「やぁ、ジョージ、相棒。学校サボったろ?どこで何やってたんだ?」

ジョージ「寝過ごしちゃって・・・。マーティ、助けてほしいんだ。ロレインを誘いたいんだけど、どうしたらいいかわからない」

マーティ「大丈夫、元気出せよ。彼女はそこにいる。あぁ、硬いなぁ、これ・・・」

マーティ「どうして急に気が変わったんだ、ジョージ?」

ジョージ「夕べ、僕の部屋にダース・ベイダーがバルカン星からやってきて、ロレインをダンスパーティに誘わないと脳を溶かしてしまうって言うんだ」

マーティ「へー、でも脳を溶かすとか、そういう話は人にしないほうがいいよ」

ジョージ「あぁ、そうだね」

マーティ「よし、こっちだ。彼女はあそこにいる。行って、誘ってこいよ」

ジョージ「いや待ってくれよ。でも、どう言えばいいんだ?」

マーティ「なんでもいいさ、自然に頭に浮かんでくることをそのまま喋れば」

ジョージ「・・・ダメだ!何も浮かんでこない!」

マーティ「よくそれで僕が生まれたね」

ジョージ「え?なに?」

マーティ「いいや、なんでもない、こっちのこと。いいかい。『君とはいつか結ばれる運命(destiny)だ』とか、『君ほど美しい人に会ったことはない』とか、そんなこととか言えばいい。女はそういうの好きだからな。ね、何やってんの?」

ジョージ「書き留めてるんだ。これはすごくいいよ」

マーティ「よし、がんばれ。それは自分で出来る?」

 昼-ルウズ・カフェ

ジョージ「ルウ、一杯くれ。ミルク・・・チョコレート」

ジョージ「ロレイン・・・君とはいつか・・・結ばれる濃度(density)だ」

ロレイン「え?」

ジョージ「あー僕が言いたいのは、つまり」

ロレイン「ちょっと待って、あなたどこかで会ったことない?」

ジョージ「そう、そうです!僕はジョージ・マクフライ。僕は君の濃度(density)だ、じゃない・・・君の運命(destiny)の人なんだ」

ロレイン「まぁ・・・」

ビフ「おい、マクフライか!」

マーティ「チキショー」

ビフ「ココには来るなと言っといたはずだぞ。こいつは罰金もんだな。金あんか、出せよ」

ジョージ「あぁ、いくらいるんだい、ビフ?」

ビフ「うわっ。野郎、もう許さねぇ・・・」

マーティ「あ!すげぇ!ビフ。なんだあれ?」

ロレイン「カルバン・クラインよ。私の憧れの人なの!」

 昼-時計台前広場

マーティ「おい、待って。ねぇ、坊や、坊や。ちょっと待った。貸りるよ」

子供「何するんだよー」

マーティ「あとで返すから」

子供「うあ、あれを見ろよ」

ビフ「あっちだ、待てー!」

少女1「あれ何に乗ってるんだ?」

青年1「車輪の着いた板だ」

ロレイン「彼ってサイコーに素敵!」

ビフ「おい、あっちだー!」

マーティ「あああああーーー!」

ビフ「潰してやる!!」

ビフ一味「あ゛あああーーー!!!」

ゴールディ「クッセー!」

マーティ「ありがとう、坊や」

ビフ「野郎、今に見てろ」

少女1「あの子どこ子?」

少女2「どこに住んでるの?」

ロレイン「あたしも知らないの。でも、きっと突き止めるわ」

 昼-ドクの研究室

TVのドク「いかん。やつらだ。どうしてここがわかったのか。逃げろ、マーティー!・・・・こりゃいかん。やつらだ。どうしてここがわかったのか。逃げろ、マーティー!」

マーティ「ドク?」

ドク「ああ、気がつかなかった。いやや、大した発明だな。ビデオって奴は」

マーティ「ねぇ、聞いてドク。まだ、話してなかったけど、それを録画した夜に、ある事件が・・・」

ドク「おい、やめてくれ!未来の事なんか聞きたかない」

マーティ「わかってないんだよ」

ドク「わかってるさ。自分の将来を知りすぎると、ろくなことにならん。君がそのいい例だろ?」

マーティ「あ、そうだね」

ドク「な、見てくれ。君を未来へ帰す方法を考えた。この模型はちょっと雑なんだが、作るのに精一杯で色を塗るヒマなかったんだ」

マーティ「すごいよ」

ドク「ううん、そうか。さてと、まず工業のケーブルを使って時計台のてっぺんから電線を引き、ずっと伸ばして、このように2本の電柱の間に張る。一方、車の方にはご覧のとおり先の曲がった長いポールを立て次元転移装置に電気が流れるように接続する」

ドク「あらかじめ時間を計算し、君はここから車を走らせ、時速88マイル(140キロ)に加速して電柱の間を通過する。チラシによると落雷は、土曜日の午後10時4分だ。その瞬間に電流が電線を伝わって走る。そこにこのポールが接触して、1.21ジゴワットの電流が次元転移装置流れ込み、君は1985年に戻れるってわけだ」

ドク「よし、それじゃ実験をしてみよう。ねじを巻いて、こいつを走らせろ。私は稲妻を出す」

ドク「行くぞ。用意・・・、スタート!」

マーティ「でやあぁ〜」

ドク「だぁあああー!」

マーティ「ねぇ、ドク。おかげで、うまく行く気がしてきたよ」

ドク「大丈夫。君は親父さん事だけ考えていればいい。それでどうした?彼はパーティーに誘ったのか?」

マーティ「多分ね」

ドク「で、返事は?」

ドク「お袋さんだ!タイムマシンを隠せ!そう、早くするんだ」

ロレイン「あれ、カル・・・いえ、マーティ」

マーティ「母さぁ・・・ロレイン。驚いたな。どうしてここにいるって分かった?」

ロレイン「あとをつけたの」

マーティ「ああ、この人は、ドク。僕のおじさんだよ。ドクター・ブラウン」

ロレイン「こんにちは」

ドク「あぁ」

ロレイン「マーティ、こんな事言うと、あつかましい女だと思うかしら。もし、できたらでいいんだけど、私を誘ってくれない?今度の土曜日の深海パーティーに」

マーティ「でも君、誰かに誘われてるだろ?」

ロレイン「いえ、まだ誰にも?」

マーティ「え、あっ、でもジョージは?」

ロレイン「ジョージ・マクフライ?そりゃ、あの人、とってもやさしそうよ。でも、それだけじゃ。だって、男はやっぱ強くなくちゃ。愛する人を守るために、立ち上がって戦うような」

マーティ「ぅ…」

ロレイン「そうじゃない?」

マーティ「まあね」

 1955年11月9日-昼-ジョージの家の裏庭

ジョージ「でも、どうも君の言う事がよく分からないな。どうして僕がパーティーに行かなきゃならないんだい?ロレインは君と行くっていったんだろ?」

マーティ「いいかい、ジョージ。彼女は君と一緒に行きたいんだ。ただ、それに気付いてないだけさ。ガッツのあるところを見せてやれよ。ジョージ・マクフライは男だってとこをね。か弱い女性を守るために戦ってこそ男だろ?」

ジョージ「でも、僕はケンカなんか一度もしたことないから」

マーティ「これはケンカとは違うよ、ダッド。ダ、ダ、ダ、ダディヨー。人を助けるためじゃないか、そうだろ?よし、もう一度復習だ。8時55分、君はどこにいる?」

ジョージ「ダンスパーティの会場」

マーティ「そう。で、僕は?」

ジョージ「車の中だ。彼女と二人」

マーティ「うん。そして9時ごろ、彼女は僕に対して怒りだす」

ジョージ「どうして君に対して怒るんだ?」

マーティ「だから、そりゃ、まともな女の子なら怒るんだよ・・・。いやらしいことをされたら」

ジョージ「おい待てよ。じゃ、君はあの人の体に・・・その」

マーティ「いや、違うよ、ジョージ。いいかい、これは芝居なんだ。分かるだろ?よし、それじゃ君は9時になったら駐車場に出てきて、車の中でその・・もみあっている僕らを見つける。そして、歩み寄り、車のドアを開けて言うんだ。ほら、君のセリフ!」

ジョージ「ああ、そうか。『おい貴様、その薄汚い手をどけろ!』。・・・ちょっと言葉が乱暴過ぎない?」

マーティ「いいんだよ。それくらい言わなきゃ迫力ないだろ?そう言ったら君は突進してきて腹に一発食わせる。僕はそれであっさりノックアウト。そして君とロレインは幸せになるって筋書きだ」

ジョージ「マーティ、君はそう簡単そうに言うけどね、僕は考えただけで怖くて怖くて」

マーティ「何も怖がることないさ、自信持てよ。あ、そうだ。いい言葉を教えてよう。『何事も成せば成る』」

⑤魅惑の深海パーティー

 1955年11月12日-夜-時計台前広場

ドク「本当に嵐が来るのか?」

マーティ「天気予報なんて当たるわけないんだから。30年たってもね」

ドク「もう行ってしまうのか、寂しくなるな。君に会えたおかげで、生きる目標ができた。少なくとも、私は1985年まで生きて、タイムマシンを発明に成功する。こいつで自由にタイムトラベルができる。この1週間の事を君と話し合えるのは30年後か。待ちどおしな。本当に寂しくなるよ」

マーティ「僕だって同じさ」

マーティ「ドク、30年後だけど・・・」

ドク「よせ!何にも言うな!未来のことを知らされるのは、むしろ危険だとあれほど言ったじゃないか。親切からしたことでも返って仇にありかねない。どんな重大な事にしろ、そのときがくれば自然に分かる」

マーティ「『ブラウン博士。僕が未来に帰った夜、あなたはテロリストに撃ち殺される。そうならないように、なんとか身を守る方法を考えてください。あなたの友、マーティより』」

警官「いや、こんばんは、博士。何んです、その電線?」

ドク「なぁにただの気象実験さ」

警官「ほぅ。こっちはなんですか?」

ドク「あぁ!触っちゃいかん!新しい気象観測装置なんだ」

警官「使用許可を取ってありますか?」

ドク「あぁ、あるとも」

 夜-ヒル・バレー高校 駐車場

マーティ「よかったら、このまま…ここで…少し話そうか」

ロレイン「いいわ、私もそうしたかったの」

マーティ「え?」

ロレイン「やだわ、マーティ。私もう18よ、少しは経験だってあるわ」

マーティ「ええぇ、本当・・・」

ロレイン「なんだか落ち着かないみたいだけど、どうしたの?」

マーティ「別にぃ・・・そんなことないよ」

マーティ「ロ、ロレイン!君何してんだ!?」

ロレイン「ママのお酒の棚からこっそり持ってきちゃったの」

マーティ「でもさ・・、こんなことだめだよ」

ロレイン「どうして?」

マーティ「どうしてって、そりゃ・・・・。君が将来後悔するかもしれないし」

ロレイン「あなたって随分お堅いのね。パーティのときは誰だってお酒ぐらい飲むわ」
マーティ「ブゥーー!!!タバコも吸うのかい?」

ロレイン「マーティ。あなたってウチのママそっくり」

 夜-体育館

マーヴィン「この辺でちょっと休憩を。でも、またすぐに戻ってきますから、みんなどこへも逃げないで」

 夜-ヒル・バレー高校 駐車場

ロレイン「マーティ」

マーティ「うわっ」

ロレイン「何そわそわしてるの?」

マーティ「ロレイン。君はさ、あの、その、こういう経験あるかな?あることをしなきゃならないときに、その場になって急に怖気づいちゃったりして」

ロレイン「例えば、初めてデートのときとかに?」

マーティ「まあ、そうかな」

ロレイン「その気持ちとってもよくわかるわ」

マーティ「本当?」

ロレイン「私ならどうするか教えてあげる」

マーティ「えぇ、何を?」

ロレイン「気にしないわ!」

ロレイン「なんだか変だわ。自分でもよくわからないけど。あなたとキスしたけど、弟にしてるみたいに何も感じないの。それっておかしいじゃないかしら」

マーティ「いや、おかしくない。それで当然なんだ」

ロレイン「誰か来るわ」

ビフ「この前はやってくれたな。てめえのおかげで300ドルの車がお釈迦だぜ。たっぷり礼をしてやる」

ロレイン「止めて、ビフ!乱暴するの。この酔っ払っい!」

ビフ「へぇ〜、珍しいところで会うな・・・。おっと、待ちなよ。逃げることはないだろ。仲良くしようぜ」

マーティ「止めろよ、ブタ野郎!」

ビフ「連れてって、痛めつけろ。あとから行く」

ビフ「バカ!のぞいてんじゃねぇや」

 夜-体育館 外

スキンヘッド「あそこへ放り込もう。俺の髪を乱した罰だ」

レジナルド「人の車に何するんだ」

3D「うるせえよ、このど間抜け。だまってすっこんでろ」

マーヴィン「ど間抜けとは誰のことだ、このトンチキ」

スキンヘッド「なあ、ちょっと待ちなよ。マリファナ吸ってる野郎にはちょっかいだしたくないんだ・・・」

マーヴィン「このガキ共、とっととママのところへ失せろ」

3D、スキンヘッド、マッチ「ビフ!助けてー!」

マーティ「おい、開けてくれ!誰かここから出してくれ!頼むよ」

マーヴィン「おい、レジナルド、キーはどこだ?」

マーティ「キーはトランクの中だ」

マーヴィン「何だって?」

マーティ「キーはこの中にあるって言ったんだ」

 夜-ヒル・バレー高校 駐車場

ジョージ「おい、貴様!その汚い手をどけろ!」

ジョージ「あっ・・・ビフ・・・」

ビフ「車を間違えたか、ジョージ」

ロレイン「ジョージ、助けて。お願いよ」

ビフ「おい、回れ右して。とっとと消えな。おい!聞こえないのか、ジョージ。ドアを閉めて消えるんだ」

ジョージ「やめろ、ビフ!ロレインに手を出すな」

ビフ「よし、わかった。俺に逆らうのか。吠え面かくなよ」

ジョージ「あぁあああ!」

ロレイン「ビフ、やめて!ねぇ、腕が折れちゃうわ!離してあげて」

 夜-体育館 外

マーヴィン「手伝えよ、レジナルド」

マーヴィン「あー痛!!ちきしょう!手を切った」

マーティ「誰の車?」

レジナルド「俺んだ」

マーティ「これキー。どうもありがとう。」

 夜-ヒル・バレー高校 駐車場

ロレイン「本当に手が折れちゃうわ。ビフ!ねぇやめてったら、もう離しなさい!」

ロレイン「あぁー!キャッ!」

ビフ「はっはっはっは・・・」

ジョージ「大丈夫かい?」

カップルの女「ねぇあの人、誰?」

カップルの男「ジョージ・マクフライだよ」

カップルの女「いつもからかわれている、あのジョージ!?」

マーティ「ちょっと失礼」

 夜-時計台前広場

ドク「・・・嵐だ」

 夜-体育館 外

マーティ「ねぇ、みんな。戻ってパーティーを続けてよ」

レジナルド「見なよ、この傷じゃ演奏なんかできっこない。マーヴィンがいなきゃだめだ」

マーティ「ねぇ、マーヴィン、頼むよ。演奏を続けて。2人はダンスをしながら初めてのキスをするんだ。音楽がなきゃ踊れないだろ。踊れないと、キスも出来ないし、僕はこの世に生まれてこれないんだよ」

マーヴィン「悪いが、パーティは終わりだ。誰かほかにギターが弾ける奴がいれば別だがな」

 夜-体育館

マーヴィン「会場のお熱いカップル達に送ります」

歌 アース・エンジェル

ロレイン「ジョージ、キスしてくれないの?」

ジョージ「でもいいのかい?」

ディクソン「おい、代わってくれよ。踊ろうぜ」

ピアノ演奏者「どうした?大丈夫か?」

マーティ「指が動かない」

ロレイン「ジョージ!」

ロレイン「ジョージ!!」

マーティ「ジョージ・・・」

ジョージ「そこをどいてくれ」

ディクソン「うわっ!」

マーヴィン「いや、いいね。すばらしいサウンドだ。もう一曲頼むよ」

マーティ「いやぁ、僕もう行かなきゃ」

マーヴィン「そんなこといわないで。ホットな奴をもう一曲」

マーティ「そう、ホット奴ね。いいよ」

マーヴィン「そうこなくっちゃ」

マーティ「じゃあ、なるべく古臭そうなの・・・・。といっても、これは僕が前にいた所の話で・・・。それじゃ、リズムはブルースで、Bから入って途中で変わるけど、あとは適当にあわせてついてきて」

歌 ジョニー・B・グッド

若い男「おい、ジョージ!ビフをやっつけたんだって?見直したよ」

若い女「ねぇ今度、生徒会長に立候補したら?」

マーヴィン「もしもしチャック?俺だよ、俺。従兄弟のマーヴィン・ベリーだ、忘れるな。お前さん、新しいサウンドを探してるって言ったろ?ちょっとこれを聞いてみな」

マーティ「みんなにはちょっと早すぎたかな。君達の子どもには流行るよ」

 夜-体育館 裏口

マーティ「ロレイン」

ロレイン「さっきの随分変わった音楽ね」

マーティ「まあね」

ロレイン「ねぇ、あなたには悪いんだけど帰りはジョージが送ってくれるって言うの」

マーティ「あ!そう、良かった。良かったね、ロレイン。君たちきっとうまく行くよ」

ロレイン「あたしもそう思うの」

マーティ「僕ももう行っちゃうけど、一言言いたかったんだ。君たちのおかげで、すごく勉強になった」

ロレイン「マーティ、いつかまた会える?」

マーティ「請合うよ」

ジョージ「じゃあマーティ。いろいろとためになる忠告をありがとう。一生忘れないよ。」

マーティ「じゃあ元気で。2人ともお幸せに。あ、そうだ、もう一つ。君たちに子供が生まれてさ、その1人が8つになってちょっとした過ちから居間の絨毯を燃やしちゃうことがあっても、あまりしからないで」

ジョージ「わかったよ」

ロレイン「マーティか、とってもいい名前ね」

⑥稲妻作戦

 夜-時計台前広場

ドク「何してるんだ一体!遅い!!遅い遅い!!」

ドク「何をしてた!もう、あんまり時間がないぞ」

マーティ「怒らないでよ。着替えてたんだ。ズートスーツで未来へは帰れないもん。ねぇ、親父の変わりよう見せたかったよ。ビフの奴を一発でノックアウトさ。一生あいつに頭が上がらないかと思ったけど別人みたい」

ドク「別人?」

マーティ「それがどうかしたの?」

ドク「いや、いいんだ。それより目標時間を確かめよう。これが君が出発した時間だ。これとピッタリ同じ時間に君を送り返す。そうすればすべて元通りだ」

ドク「いいか!この先に白い線が引いてある。ずっと向こうにだ。そこからスタートしろ。電流接続までの距離は、加速のスピードを計算に入れて割り出した。雷が落ちるまでの風の抵抗ももちろん計算に入っている」

ドク「落雷まで正確にはあと7分22秒だ。このアラームを合図に車をスタートさせろ」

マーティ「わかった」

ドク「よし。言っとくのはそれだけだ」

マーティ「ありがとう」

ドク「こちらこそ。30年後にまた会おう」

マーティ「待ってるよ」

ドク「心配はいらん。落雷の瞬間に88マイル(140キロ)であの電線の下を突破すれば、時計台と完全につながるんだ」

ドク「大丈夫、うまくいくよ」

マーティ「あぁ!」

ドク「この手紙はなんだ?」

マーティ「30年後に開ければわかるよ」

ドク「未来の事が書いてあるんだな。知ってはいけない未来の出来事が」

マーティ「待ってよ」

ドク「何て言ったらわかるんだ、歴史が変わってしまうような恐ろしい結果になるかもしれないんだぞ」

マーティ「その危険を冒すだけの値打ちはあるさ。ドク、あんたの命にかかわることなんだよ」

ドク「やめろー!私はそんな大それた責任は負いたくはない」

マーティ「だったら、今ここでハッキリ言っちゃうからね」

ドク「ケーブルが外れた。ケーブルを頼むぞ、私が上にのぼってこれを投げるから」

マーティ「OK!わかったよ」

 夜-時計台

ドク「あぁーー!」

 夜-時計台前広場

マーティ「ドク!」

ドク「引くぞー、早くしろ!」

マーティ「いいよ、引き上げて。早く!ドク!」

ドク「何?」

マーティ「未来で起こることをどうしても言っておきたいんだ。」

ドク「えー?」

マーティ「未来で起こることをどうしても言っておきたいんだ!」

ドク「なーにー?」

マーティ「僕が未来に戻った夜、あんたはテロリストに・・・・。」

ドク「あぁああーーあーー!!!!」

マーティ「ドク!」

ドク「行けー!」

マーティ「いやだよ!!」

ドク「時計を見ろ。あと、4分もないぞ。行くんだ、早く!」

 夜-道路

マーティ「ちきしょう、せっかく書いた手紙をやぶちゃって。もう少し時間があれば・・・待てよ。タイムマシンで10分早く戻ればいいんだ。そしたらドクに知らせられる。よし、10分早くしよう。目標時間セット。次元転移装置作動よし。エンジン順調、行くぞ!」

マーティ「よせよ、こんなときに。おい、かかってくれ、早く!」

 夜-時計台

ドク「うぁああ!ううう、うわぁ。うわ。ほわ!あああー!ああ、あー」

 夜-道路

マーティ「頼む、かかってくれ。間に合わなくなる。ほーら。チキショー、かかれ!!・・・あぁ−」

 夜-時計台

ドク「へぇ。よ、よ、よ。ぐ!えぇい!えぇいやー!あ・・・、ああああーーー!えぇい・・・、やーあああああ!」

 夜-デロリアン

マーティ「ドク!」

 夜-時計台前広場

ドク「うわぁ!」

タイムスリップ!!

ドク「やったぞー!」

 1985年10月26日-夜中-時計台前広場

歌 ヘブン・イン・ワン・ステップ・アウェイ

レッド「酔っ払いのバカが」

マーティ「わぉ!ああ、レッドだ。なつかしいな、何も変わってない。1時24分、まだ間に合うぞ。ドクに知らせなきゃ」

マーティ「なんだよ、またか。頼むぜ、おい。おい。おい、ちょっと!リビア人だ」

 夜中-ローン・パインズ・モール

ドク「うわぁー!」

マーティ「やめろー!人殺し!」

兵士「行け!出せー!」

タイムスリップ!!

兵士「うわぁー!!」

マーティ「ドク!ドク!やだぁ、やだよぉ・・・・」

マーティ「生きてんの?」

マーティ「防弾チョッキ・・・。どうして知ってたの?知らせる暇もなかったのに」

マーティ「ずるいよ、こんなの。歴史に悪い影響を及ぼすとか散々、文句言っといて」

ドク「まぁ、この際だ。カタい事言うな」

 夜中-マーティの家

マーティ「未来のどこあたりに行くの?」

ドク「30年後だ。キリがいいだろ」

マーティ「僕にもあって。その頃は47歳になってる」

ドク「わかった」

マーティ「元気でね」

ドク「君も」

マーティ「あ、アイニー。あ、再突入のときね、衝撃がある」

ドク「了解」

タイムスリップ!!

⑦エンディング

 朝-マーティの部屋

歌 バック・イン・タイム

マーティ「うわっ、ひどい夢だったな」

 朝-マーティの家 リビング

リンダ「ポールから電話があったら今日は遅くまでブティックにいるって言っといて」

デイブ「僕はお前の電話番じゃないぞ。さっきもクレッグとかグレイグっていう奴から電話があったけど」

リンダ「どっち?グレッグ?グレイグ?」

デイブ「知らないよ。いちいち覚えてられないからね」

マーティ「ねえ、どうなってんの?」

リンダ「朝食じゃない」

デイブ「お前また服のまま寝たのか?」

マーティ「あぁ、そうなんだ。デイブ、何でそんなの着てんの?」

デイブ「どうして?会社に行く時はいつもスーツだよ」

ロレイン「今夜は雪辱戦をやりましょうね」

ジョージ「それでイカサマでもやろうってわけか?」

ロレイン「まさか」

ジョージ「おはよう!」

マーティ「父さん、母さん」

ロレイン「マーティ?あなたどうしたの?」

マーティ「2人ともすごく元気そうだね。母さん、スマートになったよ」

ロレイン「そう、ありがとう。んもっ、あなたったら」

ロレイン「お寝坊さんね」

マーティ「おはよう」

ロレイン「おはよう。デイブ」

デイブ「おはよう」

ロレイン「おはよう、リンダ」

リンダ「おはよう、ママ」

リンダ「あ、そうだ、マーティ。ジェニファーから電話があったわよ」

ロレイン「あの子とってもいいお嬢さんね。明るくて気立てが良くって。そういえば今夜ね、大事なデート」

マーティ「え?なんのこと?」

ロレイン「2人で湖に行くじゃなかったの?2週間前から計画して」

マーティ「うん、まぁそのつもりだったけど諦めるしかないよ。車がペシャンコじゃ」

ジョージ「ペシャンコ?」

リンダ「ペシャンコってどういうこと?」

デイブ「ペシャンコだって?いつそんなことになったんだ、僕は何も聞いてないぞ」

ジョージ「まぁ、待て、車はちゃんとあるさ。ほら見なさい、ビフがワックスをかけてるよ。あーなぁ、ビフ、ワックスは必ず2度掛けしてくれよ、1度じゃダメだぞ」

ビフ「これ、もう2度目です」

ジョージ「おい、ビフ。ごまかすじゃないよ」

ビフ「えへへへ。いや、どうも、すいません、だんな様。これからちょうど2度目を塗るところで」

ジョージ「黙ってるとすぐ手を抜くからな。まったくビフにも困ったもんだ。あいつは高校時代からそうだったよ。まぁそれでも、ビフがいなかったら」

ロレイン「あたしたちは恋に落ちなかったわ」

ジョージ「その通りさ」

ビフ「だんな様、だんな様、今これが届きました。やぁ、マーティ。新しい本でしょう」

ロレイン「まぁ、来たの!うれしいわね。あなたが初めて出した本ですものね」

ジョージ「いつも父さんが言ってるだろ、マーティ。『何事も成せば成る』だよ」

ビフ「おぉ、マーティ。はい、キー。今夜のために磨き上げておきました」

マーティ「キー?」

 朝-マーティの家の前

ジェニファー「ねぇ、乗せてくれない?」

マーティ「ジェニファー。君の目はなんて素敵なんだ。僕によく見せて」

ジェニファー「1週間も会わなかったような言い方ね」

マーティ「そうだよ」

ジェニファー「変な人。ねぇ大丈夫?」

マーティ「そうだね。何もかも最高だよ」

タイムスリップ!!

ドク「マーティ、私と一緒に来てくれ」

マーティ「どこへ?」

ドク「未来へ帰るんだ」

マーティ「ねぇ、ドク。そのゴミどうするの?」

ドク「燃料だよ。さぁ早く、乗った、乗った」

マーティ「だって、僕、戻ってきたばっかりで今日はジェニファーと新車でドライブに行くんだ」

ドク「一緒にくればいい。その子にも関係がある」

マーティ「待ってよ、ドク。僕らの将来に何かまずい事でも起きたの?ダメ人間になってるとか?」

ドク「いやいや、君らじゃない。君達以下はうまくやっとるよ。君らの子供のことだ。なんとかしないと手遅れになる」

マーティ「ドク、88マイル(140キロ)に加速するにはここじゃ道が足らないよ」

ドク「道だ?未来にそんな物など必要ない」

タイムスリップ!!