①オープニング
1985年10月26日-朝-マーティの家の前
ジェニファー「ドライブに行かない?」
マーティ「ジェニファー…。あぁ夢じゃないんだね、これは。顔をよく見せて」
ジェニファー「イヤだ。1週間ぶりみたい」
マーティ「そうだよ」
ジェニファー「どうかしちゃったの?大丈夫?」
マーティ「あぁ。何もかもご機嫌」
タイムスリップ!!
ドク「マーティ!一緒に来てくれ!」
マーティ「どこへ?」
ドク「未来へ戻る!」
マーティ「ちょっと何やってんの、ドク?」
ドク「燃料がいる」
ドク「さぁ急げ!乗った乗った」
マーティ「イヤだよ。帰ってきたばかりなのに。ジェニファーと新しい車でドライブに行くんだから」
ドク「なら一緒にくれりゃいい。彼女にも関係がある」
マーティ「待ってよ、ドク。どういうことさ?僕らどうなっちゃうの将来?最低のクズにでもなってた?」
ドク「…いやいやいや。君とジェニファーは問題はない。君らの子供だ。なんとかせにゃんならんのは!」
マーティ「もっとバックしないと。88マイル(140キロ)出すには道が足んないよ」
ドク「道か…。この車に道なんか必要ない。見てろ」
ビフ「坊ちゃん。マーティ坊ちゃん。これちょっと見て下さいよ。うちの部品屋のネーム入りマッチを」
ビフ「空飛ぶデロリアン?」
タイムスリップ!!
ビフ「一体どうなってんだ…」
②未来の世界
2015年10月21日-昼-スカイ・ウェイ
マーティ&ジェニファー「だぁあああーーあああぁぅ!」
マーティ「なんだいあれは!?」
ドク「タクシーだよ」
マーティ「ウソだろ?僕たち空飛んでるんでしょう?」
ドク「その通り」
マーティ「ねぇどうなってんのさ。ここどこだよ?時代はいつ?」
ドク「カリフォルニアのヒル・バレーに向かっている。午後4時29分。10月21日水曜日、2015年だ」
マーティ「2015年!?じゃあ未来にいるのか?」
ジェニファー「何言ってるのマーティ。未来になんか行ける訳ないでしょ?」
マーティ「あぁそれがね…。どう話したらいいのかな。タイムマシンなんだよ」
ジェニファー「2015年まで飛んできちゃったの、あたし達?」
ドク「2015年10月21日だ」
ジェニファー「ウソでも冗談でもなさそう。じゃ自分の未来が見られるわけ!?あたしたち結婚するって言ったわね!」
ドク「えっ…いやまぁ…」
ジェニファー「それで豪華な結婚式?」
ドク「うるるる…」
ジェニファー「あたし達の結婚式が見られるのね!」
マーティ「まぁね」
ジェニファー「自分のウエディングドレス見てみたい」
マーティ「…あぁそう」
ジェニファー「どんなお家に住むのかしら?大きなお家で子供がいっぱいいて。子供は何人ぐらい…」
マーティ「ドク!何するんだよ!」
ドク「心配するな!αリズムでちょいと眠らせただけだ。自分の未来のことをあれこれ知りすぎるのはよくない。目が覚めたら全部夢だったと思うはずだ」
マーティ「じゃなんで連れてきたのさ?」
ドク「仕方がなかったんだよ。タイムマシンを見られたからにはこのまま放っておけんだろ。だがな、作戦には巻き込まん」
マーティ「それならいいけど」
ドク「おおっと出口だ」
昼-時計台 路地裏
ドク「降りてまず服を着替えるんだ」
マーティ「だってこんな土砂降りなかで?」
ドク「ふぅははぁ。あと5秒で止む」
ドク「キッカリ時間通りだ。いやぁさすが見上げたもんだ。郵便局も気象庁ぐらい正確だといいんだがな」
ドク「実は君がわからんといかんから変装してきたんだ。実際は若返りクリニックでオーバーホールしてな。シワをとって髪を修復し血も入れ替えて、3〜40年は若返っておる。ついでに脾臓と結腸も取りかえた。どうかね?」
マーティ「なかなかいいよ」
マーティ「未来か。信じらんないな。ちょっと確かめてくるよ」
ドク「時間がないんだ。急がなきゃならん」
マーティ「僕の未来の事を教えてよ。成功してるとは思うけど。ロックスターかなんかになってさ」
ドク「自分の運命についてあんまり知りたがっちゃいかん」
マーティ「わかってるけどさ。でも金持ちなんだろ?」
ドク「そんなことはいいからシャツを脱いで。上着と靴が入っている。やらなきゃいけない使命がある!」
ドク「よし。キッカリ時間通り」
マーティ「オートマチックか、こいつはいいや」
マーティ「デカすぎるよ」
ジャケットの機械「サイズ調整、完了」
ドク「ズボンのポケットを出して。ズボンを裏返すのが若いもんの流行なんだ。こいつを被って。完璧だ!君の息子と瓜二つだ!」
マーティ「えぇ?」
ドク「ジェニファーをこっちへ運ぼう」
マーティ「で、作戦は?」
ドク「足を持て」
マーティ「これからどうするの?」
ドク「キッカリ2分後に角を曲がって『カフェ80's』へ行くんだ」
マーティ「うん。『カフェ80's』ね」
ドク「80年代を再現した店だがロクなもんじゃない。ペプシを注文しろ、さぁ50ドル。そこでグリフって奴を待て」
マーティ「わかった。グリフね」
ドク「そいつが今夜のことを聞く。『やる』のか『やらん』かと。君は『やらん』と言え。何を言われても答えはノーだぞ!取り合っちゃいかん」
マーティ「わかった」
ドク「すぐそこを出て。ここに戻って待ってろ!」
ドク「いいか?誰とも話すんじゃないよ。余計な事は一切するな。人と関わり合っちゃいかん。なるべく何にも見ない様にしろ!」
マーティ「でもわかんないな。僕の子供に関係あるって言ったじゃない?」
ドク「息子がどうなるか、これを見ろ」
マーティ「僕の息子?うわぁ本当、似ってるぅ」
マーティ「『逮捕されて2時間後、マーティン・マクフライJrは裁判で有罪となり15年の実刑判決を宣告された』たった2時間で!?」
ドク「未来の国では弁護士が廃止されてスピード裁判なの」
マーティ「こりゃヘビーだな」
ドク「それだけじゃない。次の週に娘が脱獄させようとして懲役20年!」
マーティ「娘?僕には娘もいるの?」
ドク「いいか!このたった一つ事件が元で、君の家族全財がめちゃくちゃになってしまう!」
マーティ「あぁドク、この日付。これ明日の新聞じゃない?」
ドク「そうとも。私はもっと先の未来へ行って結末を見た。そこから逆に辿ってこの事件を突き止めた。何としてもこいつを阻止しなきゃ」
ドク「いかん!時間だよ」
マーティ「待ってよ。そっちはどこ行くの?」
ドク「私がマーティJrを止めるから。君が代わりに『カフェ80's』に行くんだ。グリフにはノーと言えばそれでいい!」
マーティ「だけどジェニファーは?このまま置いとけないよ」
ドク「心配するな。4、5分で戻るんだから。あぁマーティ。グリフには気をつけろ。ここに移植した回路が時々ショートするんだ」
昼-時計台前広場
マーティ「未来の街か」
テキサコ機械店員「テキサコ・スタンドへようこそ。星のマークのテキサコがあなたの車を守ります。オイル点検。着陸ギア点検」
マーティ「あぁあああーーー!!」
マーティ「相変わらずのニセモノか」
ゴールディ・ウイルソン3世「みなさん、こんにちは。ウィルソン・ホバー・コンバージョン・システムのゴールディ・ウィルソン3世です。かつて私の祖父がヒル・バレーで市長だった頃、交通渋滞に頭を悩ませていました。でも今もう渋滞で悩み必要はありません。どんな旧式の車でもたちまち空のハイウェイを行く飛行車に大変身!費用もたったの3万9999ドル95セント。ゴールディ・ウイルソン3世に任せてちょうだい…」
昼-カフェ80's
歌 ビート・イット
モニターマイケル・ジャクソン「音楽界の皆さん。まず、フ、フ,フルーツ・サラダがいいででよ。オレンジとアップルそしてグレープ・フルーツにバナナが盛りだくさん。お好みで生クリームかヨーグルトで食べるのがオススメ。それか南西部が好きならでラ・バンバ、ファヒタ、トルティー、ピタなんかいってみる?ホット・サルサにアボガド、シラントロとたっぷりの豆にチキンか、ポークか、ビ、ビ、ビーフの中から選んで」
客「すいません、ボーイさん?」
モニターレーガン「やぁ『カフェ80's』へようこそ。アメリカの朝はここに始まる。例え昼でも夜でも、ハハハ。今日のスペシャルメニューはテリヤキ…」
モニターホメイニ「諸君、いかなる場合も人質スペシャルを食べなさい」
モニターレーガン「割り込みしよって。うるさい!ゴルバチョフの機嫌でもとってろ!」
モニターレーガン&ホメイニ「(言い合い)」
マーティ「ねぇちょっと待ってよ。ストップストップ、ストップ!ぼくペプシが欲しい」
機械「ありがとうございました。またどうぞ」
老ビフ「おいマクフライ。あぁその顔には覚えがある。マーティ・マクフライのせがれだろ?」
マーティ「ビフか?」
老ビフ「マーティJrだな?不運な奴よ、能天気野郎の名前をソックリ受け継いで」
マーティ「どういう意味だよ、それ?」
老ビフ「トントン、もしもし、お留守ですか?考えてみろ、マクフライ」
マーティ「あぁクソ…」
老ビフ「お前の親父はミスター負け犬だ」
マーティ「なんだって?」
老ビフ「掛け値になし。負け犬の中の負け犬ってことさ」
マーティ「僕は良く知ってるよ。ジョージ・マクフライは負け犬なんかじゃ…」
老ビフ「違う、ジョージじゃない。そのせがれのことを言っとるんだ。お前の父親のボンクラ・マーティ・マクフライさ。奴は自分の一生をドブに捨てるように無駄に費やしたじゃないか」
マーティ「僕が…?いいやその、僕の親父が?」
グリフ「おい!じいちゃん。俺の車のワックスがけ2度やれって言ったろうが!」
老ビフ「あぁ、わかってる。先週、2度目をかけたばかりだ」
グリフ「かけた?目をつぶってか!?」
マーティ「おたくら親戚?」
老ビフ「なに?トントン、お留守ですか。グリフが今じいちゃんって呼んだろうが」
マーティ「あれがグリフ?」
グリフ「じいちゃんよ!何のために金払ってんだよ」
老ビフ「ほんじゃまぁ。お前とこの婆さんによろしくな」
グリフ「グズグズしてんじゃねぇ」
老ビフ「おい、乱暴するな!」
グリフ「マクフライ!どこへも行くんじゃないぞ!次はお前だ!」
子供1「これ昔のビデオゲームだぜ」
子供2「へぇちゃんと動くじゃん」
子供1「僕ん家のパパが昔やったって言ってた」
マーティ「あぁ、ワイルド・ガンマンだ」
子供2「どうやるんだ、これ?」
マーティ「やってみせようか?お兄ちゃんプロなんだから」
子供2「なんだ手を使って撃つの?」
子供1「赤ん坊のおもちゃみたい」
マーティ「赤ん坊のおもちゃ?」
マーティJr「ペプシ・パーフェクト。ペプシ。やぁ」
マーティ「やばい!」
グリフ「おい!マクフライ!そこで待ってろって言っといたな」
マーティJr「やぁグリフ。みんな一緒か。どうかしたの?」
グリフ「おいマクフライ!」
マーティJr「えぇ?」
グリフ「マクフライ」
マーティJr「何ぃ?」
グリフ「靴が脱げそうだぞ」
マーティJr「あぁ…ハハハ、やられちゃった」
グリフ「ところでお前。チャンスをやるって言った今夜の事。もう決心ついたのか?」
マーティJr「あぁグリフ。それね、考えたんだけどどうしようかと思って危険そうだしさ」
グリフ「えぇ?」
スパイク「マクフライ、どうしたったの?玉ついてないのかよ!」
マーティJr「ほほぉおー!」
グリフ「この野郎」
マーティ「腑抜けじゃないか」
グリフ「ハッキリしろ!ハッキリ!やるのか?やらねぇのか?」
マーティJr「僕わかんないよ。一人じゃ決められないもん。こういう事はパパに相談しないと」
グリフたち「パパ?」
グリフ「答えが違うぞ、マクフライ!」
マーティJr「うわぁああーー。わかったよ、グリフ。やるよ、なんでも言う通りにするから」
マーティ「シー黙って。ジッとしてろ」
グリフ「そこの2人!そのまま漕いでろ!」
グリフ「さぁ、ちゃんと返事を聞こうじゃねぇか」
グリフ「面白ぇ。いつからそんなタフガイになった?」
マーティ「返事はノーだ、グリフ」
グリフ「ノーだと?」
マーティ「あぁ、バカじゃあるまいし一度聞きゃわかるだろ」
グリフ「どうしたマクフライ?腰抜け」
マーティ「いま俺のこと何て言った?」
グリフ「腰抜けマクフライ、へへ」
マーティ「誰にも腰抜けなんて言わせない」
歌 ビート・イット
グリフ「てめぇやる気か!?」
マーティ「あれ見て!」
グリフ「おおぉ!」
昼-時計台前広場
マーティ「よぉしあれだ。ねぇねぇねぇ!ちょっと待ってよ君たち!悪いけどさ」
少女1「何すんの?」
マーティ「ちょっとこれ借りるよ」
マーティ「ホバーボード?」
データ「どこいきやがった?」
マーティ「ほら」
ホワイティー「いたぞ!」
マーティ「へへーん」
ホワイティー「ホバーボードに乗ってやがる!」
データ「ボードを出せ!」
スパイク「捕まえろ!」
マーティ「でやぁああぁー!だぁはぁああー!はう」
データ「よぉし行くぞ!」
データ「それ!」
スパイク「あっちだ!」
スパイク「捕まえろ!」
ホワイティー「ああぁあぁ!」
老ビフ「昔、見たような光景だな」
マーティ「うわああぁ!うあぁ!あっはああーはっ!…おおっ」
データ「バーカ!間抜けのマクフライ!」
データ「そいつは水の上じゃ走らねぇんだ!」
ホワイティー「モーターでも取り付けなきゃな!」
グリフ「よぉし。へぇ」
グリフ「捕まれ!突撃だ!」
グリフ達「(叫び)」
マーティ「どうなってんだ」
老ビフ「アホ共が」
夕方-時計台前広場
ジャケットの機械「乾燥モードON。乾燥機作動中。上着は完全に乾きました」
マーティ「ごめんね、おチビちゃん。ありがと」
少女1「あげる。あたし、ピットブルを拾ちゃったから」
少女2「行こう」
老テリー「時計台を守ろう。あぁ君。100ドル寄付しないか。時計台を守るために」
マーティ「あぁ僕…やめとくよ」
老テリー「あれはね、歴史的な建物なんだよ」
マーティ「悪いけどまたにして」
老テリー「60年前、雷が落ちて以来時計は止まったままだ」
マーティ「カブスがワールドシリーズ優勝だって?マイアミを倒して?」
テリー「あぁこんな番狂わせがあるとはな。100分の1の確率だよ。もし、開幕まで時間を戻せるもんならカブスにドーンと賭けたんだが」
マーティ「マイアミに球団があるなんて…今何て言った?」
老テリー「開幕まで時間を戻せたらいいなってこと。カブスに賭けて儲けられる」
夕方-過去への突風
店員「これカバー付きの珍しい本なんですよ。昔はこういうカバーをつけてたの。ホコリのつかない紙が発明される前にはね。ホコリと言えばもっと面白いものがあるわ1980年代の家電で『ダスト・バスター』」
夕方-時計台前広場
ドク「マーティ!」
マーティ「こりゃがあれば負け知らずだ」
ドク「マーティここだよ!」
マーティ「あぁドク、どこいたのさ?」
ドク「待ってろ、今そっちへ着ける」
マーティ「あぁわかった。いいタイミングだね」
老ビフ「空飛ぶデロリアンか。あん時見て以来だ。30年前…」
マーティJr「あぁああ!」
老ビフ「おい!気をつけろ」
マーティJr「すみません。ごめんなさい。人が歩いてるんのに何だよ!」
老ビフ「どうなってんだ?」
マーティJr「薬なんか飲んで運転するなよ!このおっちょこちょいの慌てん坊!」
老ビフ「双子か?」
ドク「仮死状態で犬屋に預けたんだがね、アインシュタインは何も知らんのだ」
ドク「マーティ!なんだいありゃ。空から車でも降ってきたのか?」
マーティ「それがさぁ聞いてよ。息子と鉢合わせしちゃってさ、もう焦ったのなんの」
ドク「息子?やっぱりあの催眠誘発機危ないと思ったんだ。ジェニファーにも使ったんだが、1時間眠らせるにはパワーが足りなかった。クソぉ!」
マーティ「ねぇドク、ほら見てこれ。変わってく」
野次馬「ハハハッ、グリフか。ざまぁみろ!」
グリフ「チキショウ!俺はハメられた!」
ドク「よしよし。これでいい。このホバーボード暴走事件が起きてグリフは留置所の中だ。君の息子が関わった今夜の窃盗事件はもう起こらん。つまり歴史は、未来の歴史は塗り替えらた。これがその証拠だ。計画通りではないが作戦成功。ジェニファーを連れて引き上げよう」
マーティ「さぁアイニー。帰るぞ」
ドク「なんだこりゃ」
マーティ「ううん、記念にさ」
ドク「『スポーツ年鑑-50年史』楽しみに読むような本じゃないよ、マーティ」
マーティ「別にいいじゃん。未来の情報を少しくらい持って帰ったって。賭けやったら儲かるしさ」
ドク「マーティ!私は金儲けのためにタイムマシンを作ったんじゃない。人類の認識をより明確にするのが目的だ。どこから来てどこへ行くのか。挫折と可能性。災いと希望。そして、全人類が求める永遠の謎…『それは何故か?』」
マーティ「僕だってその考えに大賛成だよ。ついでにちょこっと儲けるだけさ」
ドク「こんなもん捨てた方がいい。ゴミ箱にぶち込んでやる。なんてこった!」
夕方-時計台 路地裏
フォーリー「名前はジェニファー・ジェーン・マクフライ。ヒルデイル・オークハースト通り3793。年齢47歳」
リース「47歳?随分上手く整形したわね」
マーティ「あいつら何やってんだよ?」
ドク「指紋で身元を確認したのさ。歳をとっても指紋は変わらんから未来のジェニファーだと思ってるんだよ」
リース「逮捕歴は?」
フォーリー「なし」
マーティ「なんとか止めなっくちゃ」
ドク「タイムトラベラーって言うのかい?こっちが捕まっちまうだけだ」
フォーリー「捜査の対象にもなったことはないわ。家として出た住所はかなり悪いけど」
リース「家へ送り届けるしかないわね」
フォーリー「家へ?ヒルデイルよ。帰ってくるの頃は夜になっちゃうわよ」
リース「しょうがないでしょう。それが仕事なんだから」
ドク「よぉし!うちへ連れて行く気だ。君の未来のうちへ。こっちはその直後に行って、彼女を連れ出し85年に戻る」
マーティ「じゃ僕は未来のうちに行って、年をとった自分に会うわけ?」
ドク「いやいやいや、それはまずい…はあぁぁあっ!なんてこった。ジェニファーはきっと未来の自分と顔を会わせるぞ。もし、そうなったらどエラいことになる」
マーティ「それどういう事?」
ドク「2つの場合が考えられる。30年後の自分に出会ってショックのあまりその場で気絶するか。さもなければ、その対面がタイムパラドックスを生み、その連鎖反応によって紡いだ糸の様に時空連続体がほどけて全宇宙が爆破されるかだ。まぁそれは最悪のケースで、破壊はごく一部この銀河系だけで済むかもしれん」
マーティ「それ聞いてホッとしたよ」
ドク「急ごう。ジェニファーが自分に会う前に捕まえるんだ」
ドク「スカイ・ウェイは渋滞か、時間がかかるぞ。これはここに置いておくぞ。タイムマシンは金儲けの道具じゃない。時間を旅行するためだ」
マーティ「はぁい、はい。わかったよ、ドク」
老ビフ「聞いたぞ。ドク・ブラウンはタイムマシンを発明したんだ」
③未来のマーティ家
夜-ヒルデイル
無線「422号車。問い合わせ事項についてデータを転送します」
リース「ヒルデイルか。ここはアル中とごろつきばかりで、ヤク中の温床になってるわ」
フォーリー「街ごと壊せばいいのよ」
夜-マーティの家
ドアの機械「お帰りなさい。ジェニファー」
リース「大丈夫?薬のやりすぎね。でも歩けるでしょう」
フューリー「奥さん?ドアを開けたら電気がつくようにプログラムを直さないと危険ですよ」
ジェニファー「電気?」
リース「さぁ座って。しばらく静かにしてれば良くなるでしょうが、先が思いやられますね」
ジェニファー「先が?」
フューリー「お大事に。マクフライ夫人」
景色チャンネルのアナ「24時間いつもあなたのご家庭に美しい眺めを。こちら景色のチャンネルです」
ジェニファー「未来に来たんだわ」
ジェニファー「はぁあん!簡易結婚式場で結婚じゃない?」
マーリーン「ママ?ママなの?」
ジェニファー「逃げ出さなくっちゃ」
マーリーン「ママ!ママ、帰ってるの?」
マーリーン「あら、ロレインおばあちゃま」
老ロレイン「マーリーン!」
マーリーン「おじいちゃま、どうしたの?」
老ロレイン「知らないわよ、すぐ背中を痛めるんだから」
老ジョージ「わしのかわいい孫は元気かな?」
マーリーン「ねぇどうしてこうなっちゃったの?」
老ジョージ「それがゴルフのコースを回っててな」
老ロレイン「みんなまだなの?お土産にピザ持ってきたのに」
マーリーン「そんなに誰が食べるの?」
老ジョージ「わしが食べるさ」
夜-デロリアン
ドク「この混みはもう!未来のジェニファーがそろそろ帰宅する頃だ。間に合えばいいんだが。おっおぉいや!」
マーティ「なに?どうしたのドク?」
ドク「さっきからバックミラーに同じタクシーがつけているような。くっそぉ」
夜-マーティの家
老ロレイン「この窓いつ来ても調子が悪いのね」
マーリーン「修理屋さんがパパのことを腰抜けって言ったもんだから。パパが怒って叩き出しちゃって。もう誰も来てくれないのよ」
老ロレイン「もうこんなに古くなって。あんたの父さんの1番の欠点はね、マーリーン。誰から腰抜けと言われると頭に血がのぼっちゃうとこね。何度聞いたかわからないわ、ジョージ」
老ロレイン&ジョージ「僕は人に腰抜けと思われたくない」
老ジョージ「そうそう。婆さんの言う通りさ」
老ロレイン「30年程前になるけど、腰抜けじゃないのを証明しようとして自動車事故を起こしちゃってね」
マーリーン「ロールス・ロイスとでしょ?」
ジェニファー「マーティが自動車事故?」
夜-ヒルデイル
ドク「アイニー。ジェニファーを探しに行くぞ」
マーティ「ヒルデイルの住宅街に住んでるなんてすげぇな。夢物語だよ」
ドク「マーティ。ここにいろ。いざって時は呼ぶから」
マーティ「ドク、僕だって自分のうちを見たいのに」
ドク「未来の自分に会う危険は避けないとな。よし行くぞ。おいで、アイニー。ほらほら、こっちこっちだ」
マーティ「ヒルデイルか。すげぇな」
機械「料金は174.50です」
フレッド「174ドル50セント」
老ビフ「よし」
フレッド「気いつけなよ旦那。ここいら物騒だから」
老ビフ「レシート早く」
フレッド「はい、どうぞ」
プリシラ(オウム)「あぁお客さん、チップをおくれ!ダハハハ」
夜-マーティの家
老ロレイン「あの事件がキッカケでマーティはすっかり運に見放されちゃったのよ。あの事故さえなかったらお父さんの人生はガラッと変わったでしょうね。ロールス・ロイスの人も訴えなかったでしょうに、マーティは腕を骨折しなかったし、音楽を捨てる事もなく一生ウジウジ悔やみ続けなくてすんだのに」
マーティJr「ママ。ズボン、イカしてるね」
老ロレイン「お母さんがお父さんと結婚したのも同情からだと思うわ」
ジェニファー「ママですって?」
老ロレイン「見捨てられなかったのね。やさしい人だから。ふさわしい相手がいたでしょうに」
マーティJr「美術チャンネルOFF。チャンネル18・24・63・109・87・天気予報オン」
ドアの機械「お帰りなさい、マーティ」
老マーティ「へいへいへへーい、ただいま!お父ちゃんのお帰りだよ。みんないるのかーい?」
ドアの機械「我が家の主」
老マーティ「帰りましたよー」
ドアの機械「一家の太陽」
老マーティ「ただいま。またこれを切ってる」
壁の機械「リチウム・モードON」
老マーティ「これでよしと。ダメな子供たちだ。おぉどうだ?たまにはテレビも見るんだな」
夜-ヒルデイル
マーティ「なんだありゃ?」
タイムスリップ!!
夜-マーティの家
マーティJr「ピザ早く。腹減ったよ」
老マーティ「いまやってるじゃないか」
マーティJr「おばあちゃん。出来たら僕の口の中に押し込んで」
老マーティ「ろくな事考えない」
マーティJr「すげぇ、残酷チャンネルだ」
老ロレイン「高速復元レベル4」
マーティJr「おばあちゃんできた?」
老ロレイン「召し上がれ」
老マーティ「いやぁウマそうだな。母さんのチンしたピザは。あぁごめん、皮肉じゃないんだ。」
マーリーン「そう、またかけ直すわ」
老ロレイン「それよりもジェニファーが心配だわ。随分遅いじゃないの」
老マーティ「どこ行ったのか。見当もつかないよ」
マーティJr「フルーツが欲しい」
老マーティ「とっくに帰ってる時間だけど。近頃まるっきりあてにならない」
マーティJr「フルーツだよ。フルーツ出して」
老マーティ「また例のきまぐれが始まったのかな」
マーティJr「ありがとう」
老ロレイン「あなたちうまくいってるの?」
老マーティ「あぁ。10代のカップルみたいにアツアツだよ。未だにね」
マーティJr「パパ、電話。ニードルスから」
マーリーン「パパによ」
老マーティ「あぁそう。自分の部屋でとる。失礼」
マーティJr「引っ込め」
老マーティ「よし、回してくれ」
ニードルス「やぁやぁやぁマクフライ。近頃、どうたい調子は?」
老マーティ「やぁニードルス」
ジェニファー「ニードルス?」
ニードルス「ところで、俺が持ちかけた例の話考えてくれたか?」
老マーティ「気が進まんな」
ニードルス「なにビクついてるんだ。こいつが上手くいけや君の経済的ピンチも解消するんだぞ」
老マーティ「だが、もし上手くいかなかったらわしはクビだ。第一、違法なんだぞ。フジツウが聞いてたどうする?」
ニードルス「フジツウのボンクラなんかにバレる訳ないって!決心しろよ。スロットにカードさえ差し込めば、あとはこっちでやるから」
老マーティ「いや、しかし…」
ニードルス「同じ部署の仲間に笑われてもいいのか?腰抜け」
老マーティ「誰にも腰抜けなんて言わせないぞ。断じてな!」
ニードルス「だったらそれを証明しろ」
老マーティ「わかった。よく見てろ、ニードルス。俺のカードだ。入れたぞ!これでいいんだろ」
ニードルス「見直したよ。明日、工場で会おう」
オペレーター「AT&Tをご利用頂きありがとうございました」
老マーティ「腰抜けか…」
イトウ・フジツウ「マクフライ!」
老マーティ「フジツウさん、コンニチハ」
イトウ・フジツウ「全部聞いていたぞ!不正にIDカードを使って、会社の情報を盗もうとした。言い逃れはできない!」
老マーティ「盗むなんてそんな違います。私じゃありません。ニードルスですよ、影で糸を引いているのは」
イトウ・フジツウ「君はそれに手を貸した!」
老マーティ「あっ違います!あっ!つまり囮作戦で。いや罠の仕掛けようって」
イトウ・フジツウ「違法行為だってことは百も承知のはず!マクフライ!私のFAXを読め!」
老マーティ「社長…待って下さい。クビだけはどうか…。社長!おおぉ…あぁ」
老マーティ「あぁヘビーだ。ジェニファーにどう言ったらいいんだ」
ドク「ジェニファーここだ」
ジェニファー「あっドク!1人で困ってたのよ」
ドク「玄関から外に出るんだ。外で待ってるから」
ジェニファー「ドアが開けられないわ。ノブがないんだもの」
ドク「親指でプレートを押せばいい」
ジェニファー「プレートって?」
老ロレイン「マーティ!このFAXは何なの?」
老マーティ「いや母さん。ただのジョークだよ」
老ロレイン「これがジョーク?」
老マーティ「同僚のイタズラさ」
老ロレイン「でもさっき怒鳴り声がしてたわ、誰かがアンタに」
老マーティ「母さんたら落ち着いてよ。怒鳴ってやしないさ。ニードルスと冗談言い合ってただけで」
老ロレイン「失業しちゃ大変よ」
ドアの機械「お帰りなさい、ジェニファー」
老マーティ「そんなバカな。仕事は順調。すべてうまく行ってる」
老ロレイン「だってこんなもん見たら心配するわよ」
老ジェニファー&ジェニファー「ああぁっ!」
老ジェニファー「若い!」
ジェニファー「年寄り!」
夜-ヒル・デイル
ドク「マーティ、マーティ。マーティ!おい来てくれ、早く!」
老ビフ「ああ゛ぁぁぁああ…ぁ…!はは、ああぁ…」
ドク「老けた自分を見てショックで気を失った。予想通りだ。心配する事はない。大急ぎで85年に戻ろう。帰ったらすぐにタイムマシンを破壊するよ」
マーティ「壊しちゃうの?人類の認識はどうなるのさ?どこから来てどこへ行くとか」
ドク「危険が大きすぎることがハッキリした。責任ある処置をとらないと。もし、このタイムマシンは悪人の手に渡ったらどうなる?」
老ビフ「…はっあぁ…ぁぁぁぁぁ…」
ドク「ただ残念なのは私の1番好きな時代へとうとう行きそびれたことだ。西部開拓時代さ。タイムトラベルはあまりにも危険すぎる。今度は別のテーマに私は取り組む。もう一つの宇宙の神秘…女」
夜-スカイ・ウェイ
ドク「マーティ、アイニー。瞬間時空転換に備えろ」
タイムスリップ!!
1985年A10月26日-夜-ヒル・バレー上空
マーティ「うまく行ったの?ここどこ?」
マーティ&ドク「(叫び声)」
ドク「戻ってきた」
④暗黒の世界
夜-ジェニファーの家
ドク「あのベンチに乗せるんだ。君は一旦うちに戻ってトラックで起こしにこい。目が覚めたら暗くなって自分のうちにいた。つまり夢を見ていたと思い込ませればいい」
マーティ「でも、まずいよ。このままベンチに置いてくなんて」
ドク「意外な状況の方が夢だと思い込みやすい」
マーティ「どのくらいで意識が戻るかな?」
ドク「そいつはわからんがショックが大きかったから。まぁ長くて2時間ってとこだろ。何か気付け薬を持ってくるといい」
マーティ「わかったよ、ドク」
ドク「行くぞ、アイニー。大丈夫だ、心配するな」
マーティ「窓に鉄格子なんかあったかな?」
夜-マーティ(黒人)の家
ドク「なんかあったら研究所にいる。このマシンを解体している」
マーティ「わかった」
マーティ「なんでこんなもん?」
夜-マーティ(黒人の娘)の部屋
ロレッタ「ああぁぁぁーー!!あああぁぁぁ!ママ!!」
マーティ「ねぇちょっと。何だよ君!僕の部屋で何してるんだ?」
ロレッタ「助けて!ママ!!パパ!!」
マーティ「あぁ待ってくれ!頼むから落ち着いて!」
ロレッタ「助けて!!」
ルイス「コラッ!そこを動くな!」
マーティ「誤解しないで!僕は何にもしてないよ!」
ルイス「ガキのくせにしやがって!この野郎!」
マーティ「違う!」
ルイス「この野郎!うちの娘をどうしようってんだ!?」
マーティ「うちを間違えただけだよ!」
ルイス「ぬけぬけとこのガキや!」
ハロルド「早くパパ!やっつけて!」
マーティ「間違いだって言ってるだろ!」
ロレッタ「あぁ!あたしのトロフィーが」
ルイス「2度間違えない様にしてやる!」
ハロルド「パパ逃げてく!」
夜-マーティ(黒人)の家
ルイス「クソ!待てー!」
ルイス「てめぇ不動産の回し者だろ!この家は絶対に売らないとボスに言っとけ!追い出そうったてそうはいかんぞ!」
夜-ストリックランドの家の前
マーティ「きっと時代が違うんだ」
マーティ「1985年?ウソだろ?」
ストリックランド「下に置け!お前だなうちの新聞を盗んでたのは」
マーティ「ストリックランド先生!ストリックランド先生!僕ですよほら。マーティです」
ストリックランド「何ぃ!?」
マーティ「マーティ・マクフライ!知ってるでしょ?ハイスクールの生徒です」
ストリックランド「お前の事なんか見た事もない。ろくでなしの怠け者が!」
マーティ「えぇそうです。僕は怠け者で、先週も居残りの罰を受けました」
ストリックランド「先週?学校は6年前に焼けてしまった。死にたくなったら、3秒以内にここから出て失せろ!1つ!」
マーティ「待って先生!僕には何がなんだか訳が分からないんです!」
ストリックランド「2つ!」
マーティ「あああぁぁぁ!!」
暴漢「ストリックランドのクソじじいめ!」
マーティ「とぅわはぁーあ。ははっ、あっあっ。がぁー。ふぁわぁーは!あっはぁあ!」
ストリックランド「クソッタレ!バカ共!うわぁああぁ!!」
夜-時計台前広場
レッド「あ、痛いよ!どこ見て歩いてる?この酔っぱらいが!」
マーティ「レッド!?そうだろ?」
歌 I Can't Drive 55
夜-ビフ・タネン博物館
博物館ナレーション「みなさん、ビフ・タネン博物館へようこそ!我がヒル・バレーの名誉市民であり、アメリカで最も偉大な英雄ビフ・タネンの記念碑として建てられたのがこの博物館。誰もが一度は耳にしているその伝説。だが真実の姿は?ビフ・タネンが如何にしてアメリカ一の大金持ちかつ権力者になったのかが手に取るようにわかります。そして、興味深いタネン一族の歴史。ビフの曾祖父はマッド・ドッグの異名をとった西部一の早撃ちビュフォード・タネンでした。ビフの貧しい青年時代、初めて競馬場に出掛けたのが21歳の誕生日。彼は一夜にして百万長者になったのです。勝ち運にのったビフは稼ぎに稼ぎ『地球一番のラッキー男』と呼ばれました。それを元手に始めた事業が巨大帝国ビフコへと急成長。1979年には議会を動かしてギャンブル公認化に成功。ヒル・バレーの古い裁判所の跡地に、現在の美しいカジノホテルを建設したのです」
TVのビフ「一言言わせてくれ。アメリカに祝福を」
博物館ナレーション「真実の愛を求めての女性遍歴と、彼を取り巻く美女達。そして、1973年。ビフの人生最良の日。ハイスクール時代の恋人ロレイン・ベインズ・マクフライとついにゴールインしたのです」
レポーター「ご感想を一言」
TVのビフ「三度目の正直。ハハハッ」
マーティ「あぁああ”はっはっはぁーーーはぁーーウソだー」
スキンヘッド「おい待ちな!一緒に上へ来るんだ!」
マッチ「お前よ!手こずるのと楽なのどっちがいいんだ?」
3D「楽なほうか」
夜-極楽パラダイス ビフの居住エリア
マーティ「ママ?ママなの?」
ロレイン「やっと気がついたのね、マーティ。2時間も眠ったままで心配したわ」
マーティ「僕、ずっと恐ろしい夢を見てた」
ロレイン「そう。でも、もう大丈夫。なつかしい27階に戻ってきたわ」
マーティ「27階だって!?あっ!ああぁーあっあ!はぁ、はぁ。ママ?ママじゃないよ、あんた」
ロレイン「いやぁねぇ、ママですよ。大丈夫?」
マーティ「変なのはママだよ。だ、だって、そ、そんなに…デカくて!」
ロレイン「きっと時期良くなるわ。ねぇ何か食べる?ルームサービスを呼ぶわね」
マーティ「えぇー、ルームサービス?」
ビフ「ロレイン!」
ロレイン「まぁ大変。パパよ」
マーティ「パパ?」
ビフ「お前はスイスにいるはずだろ。この穀潰しが!」
マーティ「お前がパパ?」
ビフ「また寄宿学校を放り出されたのか?ロレイン!このクソガキ共にどれだけ銭がかかっていると思うんだ!えぇ?3人もいやがって」
ロレイン「それがどうだって言うのよ。どうせ端た金じゃない。父親なら子供たちのためにいくら出したって惜しくはないはずよ」
ビフ「おい待った!一つだけハッキリしとこうじゃねぇか。あいつはお前のガキで俺の子じゃない。あんなぐうたらに金を出すのは、ドブに捨てるようなもんだ」
ロレイン「やめてよ、ビフ!やめて!」
ビフ「あいつはな、お前の昔の亭主に似てボンクラだ」
ロレイン「…チキショウ。ジョージの事をバカにするのだけは許せない。あんたと違って本物の男だった」
ロレイン「あぁ、ハアァン」
マーティ「何するんだ!この野郎!」
ビフ「血の気だけは1人前だな。俺を殴りたいか?」
ロレイン「あぁはああぅ…。悪党!もうたくさんよ。あたし出てくわ」
ビフ「おぉ!行け行け!だが、よく考えろ。その服を買ってやったのは誰だ?宝石に酒、高い金払ってその胸を整形させてやったのは誰なんだ?」
ロレイン「あんたが自分で欲しがっただけよ。こんな物!返してほしけりゃ、もぎ取れば」
ビフ「いいかロレイン!そのドアを出て行けば縁を切るのはお前だけじゃない、ガキ共も一緒だぞ!」
ロレイン「そんな!」
ビフ「当然だろ。まず娘のリンダ。クレジットカードは全部キャンセルだ。借金は自分でなんとかさせるんだな。それからバカ息子のデイブに出した保釈金も引き上げる。後はマーティだ。3人揃って刑務所行きってことになりそうだな、ジョーイおじさんのように。鉄格子の中で家族水入らずで暮らせ」
ロレイン「はぁ。わかったわ、ビフ。あたしの負けね。ここにいるわ」
ビフ「いいかマーティ!1時間したら戻ってくる。それまでに消え失せろ」
ロレイン「正しいのよ。パパの言う事が」
マーティ「ママ。どうして、なんであんな奴の言いなりになるんだよ」
ロレイン「自業自得ね。あたしの夫だし、養ってもらってるのよ。尊敬して当たり前でしょ」
マーティ「尊敬だって!アイツが夫!?あんなあくどい奴のために、なんでパパを捨てたんだよ!」
ロレイン「捨てた?ねぇマーティ、あんた大丈夫?」
マーティ「やめてよ!大丈夫なわけないじゃないか!何がどうなっているか、僕にはさっぱりわかんないよ。誰に聞いても、ろくな返事は返って来ないし」
ロレイン「かわいそうに。今日はよっぽど強く頭を打たれたのね」
マーティ「ママ、ひとつだけ教えてよ。僕のパパ、ジョージ・マクフライはどこ?」
ロレイン「マーティ…何言ってるの?あんたのお父さんは12年前からずっと同じ所じゃないの。オークパークのお墓の中」
1985年A10月27日-夜中-オークパーク墓地
マーティ「嘘だ…。パパが…。そんなことあるわけない!1973年3月15日!?嘘だよ!なんで死ななきゃなんないだ!神様お願い!これは全部悪い夢だって言って下さい!こんな事あるわけないもん!パパは…はっ!?」
ドク「マーティ。これは全部現実に起きてる事だ」
マーティ「ドク!」
ドク「お父さんの事を知って、多分ここに来ると思ってな」
マーティ「じゃ、ドクは知ってるの?パパに何があったか?73年の3月15日に」
ドク「あぁ、知ってるよ」
夜中-ドクのガレージ
ドク「この異常な事態を調べようと図書館に行ってみた。建物は閉鎖され、板が打ち付けてあったが押し入ってコイツを借りてきた」
マーティ「でも、わかんないな。なんでこんなことになっちゃったの?地獄へ迷い込んだのかな?」
ドク「いや、ここはヒル・バレーだ。地獄だってここよりはマシだろ。おぉアイニー、あぁすまん、すまん。そこら中引っ掻き回されてメチャクチャだ。さぁほら入れ」
ドク「これはだな。時間の連続がどっかで断ち切られ、そっから新たな二次的な現実と連続が生まれたんだよ」
マーティ「わかる様に言ってよ」
ドク「よし、待った!絵に描いて説明しよう。いいかね、時間の流れを直線で表すと、ここが1985年。そして、未来と過去。この時点より前の過去のどこかで時の流れがこう大きく逸れて、もうひとつ別の1985年を生み出した。君と私とアインシュタインには二次的なものだ。しかし、他のみんなには唯一の現実だ。こいつを覚えているか?スポーツ年鑑が入ってた袋だ。見ろ、中にちゃんと領収書も入ってる。タイムマシンの中で見つけた。これと一緒に」
マーティ「ビフのステッキの枝だ。未来のがビフが持ってた奴だよ」
ドク「その通り!あの中にあったってことはビフが車に乗ってた。あのスポーツ年鑑を持って!」
マーティ「なんてことだ!」
ドク「つまり、我々が未来にいる間にビフはスポーツ年鑑を手に入れ、タイムマシンに積んで過去へ飛び自分自身に本を渡した。過去のどっかの時点で。ご覧。フフフ…ここにもちゃんとそのことが書いてある。『初めて競馬場に行って大穴を当てた』って。1958年だ。ただ、ついてただけじゃない。彼はスポーツ年鑑を持って、どの馬が勝つか知ってたんだ。その手でボロ儲けしたんだ。ここ、拡大鏡でポケットを見てみろ」
マーティ「あの年鑑だ。あの野郎!僕のアイデアを盗んだんだ。きっと立ち聞きをして…えっ…僕のせいだ。ここで起きたこと全部。僕があの年鑑さえ買わなきゃ。こんなことにはならなかった」
ドク「もう過ぎたことだ」
マーティ「過ぎた未来」
ドク「いずれにしろ。これだハッキリした。タイムマシンを悪用するとどうなるか、こんな危険な物、破壊しなきゃならん!これを元通りにしてからな」
マーティ「それにはもう一度未来へ行って、ビフがタイムマシンを盗むの止めなくちゃ」
ドク「不可能だよ。今から我々がまた未来に戻っても、出発点はここ。だから、未来は今ここにある現実と繋がっているんだよ!ビフは今よりもっともっと権力があり、君の母親と結婚している。それだけじゃないぞ。これが私の辿る道だ」
ドク「いいか?今のこの混乱を修復するには過去に戻って、新たなに派生したこの時の流れを食い止めるしかない!宇宙を我々の記憶にある元の姿に戻して、正しい現実に戻るには正確な日時を知る必要がある。若いビフが具体的にいつ、どこで、どのようにしてあのスポーツ年鑑を手に入れたか。それを突き止めなくちゃならん!」
マーティ「突き止める」
夜中-極楽パラダイス ビフ居住エリア
ビフ「防弾チョッキか。ハハッ、こいつはいいや。西部劇の流れモンにしては頭の良い野郎だ」
ビフ「なんだ故障か?てめぇ!こんなところに何しきやがった!?」
マーティ「パーティーは終わりだよ。君たちには悪いけどね」
ビフ「下の警備網をどうやって通り抜けた?」
マーティ「あんたと2人で話があるんだ」
ビフ「金の無心なら無駄だぞ」
マーティ「違う。金じゃない。グレイ・スポーツ年鑑のことだ」
ビフ「行くんだ、2人とも。パーティーは終わりだ」
夜中-ビフの書斎
ビフ「よし、聞こうか。あの本について何を知ってる?」
マーティ「先にこっちの質問に答えてよ。いつどこで、どうやって、手に入れたか?」
ビフ「へっ!いいだろう。まぁ座れ。そこに座れ!」
ビフ「1955年11月12日だ」
マーティ「55年の11月12日!?その日は僕が!…確かヒル・バレーに大きな落雷があった日だね」
ビフ「歴史を知ってるな。いいことだ。あの土曜日の事は忘れん。車を取りにいくとこだった。数日前にドラッグレースで使った奴をな」
マーティ「肥料を積んだトラックに突っ込んだだろ?」
ビフ「なんでそれを知ってる?」
マーティ「パパから話を聞いたんだ」
ビフ「パパ?」
マーティ「死ぬ前にね」
ビフ「あぁそうか…。とにかく車を取りにいこうとしてたら、杖を持った妙な爺さんが現れてな。遠い親戚とか言ってたが、まるっきり似てなかった。俺に『金持ちになりたいか?』と聞くんだ。『もちろん』と答えた。すると爺さんはこの本をよこして、『50年先までのあらゆるスポーツの勝者が書いてある』と言った。『そいつに賭ければ大儲け間違いない』ってな。『見返りはなんだ?』そう聞くと、『何もいらん。秘密だけは守れ』って。爺さんはそれっきりいなくなって2度と現れなかった」
ビフ「そういやもう一つ言ってたな。『いつか目のギラギラした変人の科学者と子供が本のことを聞きにくるかもしれん。もし、そいつら現れたら』…へへっ。しかしなぁ、まさかお前とは思わなかった」
マーティ「大事なことを一つ忘れてるよ。うわぁ!なんだありゃ!…うぃ!」
ビフ「おっ!?」
ビフ「お前は死ぬんだ、マーティ!」
夜中-エレベーター前
3D「おっ!いたぞ!」
マッチ・スキンヘッド「やい!待てー!」
マッチ「待てー!」
夜中-非常階段
マッチ「下だ!逃すな!』
スキンヘッド「すばっしこい奴だ!」
3D「急げー!」
スキンヘッド?「どこ行った?」
マッチ?「いなくなった!」
3D?「クソー!どこへ消えたんだ?」
マッチ?「おい!そっちだ!よく探してみろ!」
夜中-極楽パラダイス 屋上
ビフ「さぁ飛ぶんだ、マーティ!早く飛べ!自殺なら申し分ない」
マーティ「イヤだと言ったら?」
ビフ「こいつをぶち込んでやる」
マーティ「警察に何て言い訳する?調べれば、その銃で撃った事はわかるんだぞ!」
ビフ「黙れ!警察は俺の言いなりだ。知ってるか?お前の親父が撃たれた弾だってわからなかったんだ!」
マーティ「じゃ、お前が…!」
ビフ「これが俺にとっての都合のいい正義さ。親父とせがれが同じ銃で死ぬ」
ビフ「おっ…!フヘへへ。バカめが」
ビフ「なっ、なんだお前!どわぁ!」
マーティ「いいぞ!ナイスショット!聞いたら驚くよ、ドク。行き先はまた1955年!」
ドク「それは本当か!?」
夜中-デロリアン
マーティ「本当さ、ドク。1955年の11月12日」
ドク「年老いたビフがその日を選んだのも不思議だ。ひょっとするとその日時にはなんか宇宙的な意味があるかもしれん。すべての空間と時間のつながりの接合点のように思える。まぁ単なる偶然かもしれんがね」
ドク「くそっ。一度、修理しなきゃ。よし!タイムサーキットON!」
マーティ「タイムサーキットって何?待ってよ!まさかこのまま行く気じゃ?」
ドク「そうだ」
マーティ「ジェニファーはどうなるの?アインシュタインだってこんなとこに置いてったら?」
ドク「心配するな。この作戦が成功すれば、2次的85年は本来の85年に戻る。ジェニファーとアイニーも瞬間的に移行するさ。ジェニファーとアイニーの身に危険はないし、この忌まわしい場所の記憶も一切残らんだろう」
マーティ「でも…もし、成功しなかったら?」
ドク「させなきゃいかん」
タイムスリップ!!
⑤再び1955年へ
1955年11月12日-朝-リヨン団地建設予定地
マーティ「ヘビーだな。つい昨日ここへ来たような気がするよ」
ドク「前に来たのは昨日だったな。面白いだろう。よし、あと22分で日が登る。君は街へ行って、ビフを探し出して跡をつけるんだ。今日のいつか未来のビフが現れて年鑑を渡す。決してそれを邪魔しちゃいかんよ。ビフにはうまくいったと思わせるんだ。タイムマシンで未来へ帰ってもらわなきゃ困る」
マーティ「わかってるよ」
ドク「奴が飛び去ったら、なんとしてでも年鑑を奪い取れ!頼むぞ!我々の未来がかかってる!」
マーティ「言われなくてもわかってるさ」
ドク「これは双眼鏡とウォーキー・トーキーだ。常に連絡取り合う。私は残ってタイムサーキットの修理をしている。見張ってないと、また盗まれたコトだし、ウロウロして別の自分にバッタリなんてはごめんだ」
マーティ「別の自分?」
ドク「そう。ここには私は2人。そういや君も2人か。もう一人は1955年を生きたドク・エメット・ブラウン。若い頃の私で、もう一人の君が1985年に帰るのを手伝った。時計台の落雷を覚えているか?」
マーティ「うん」
ドク「あれが起きたのは今夜だ。君も別の自分に会わない様に気をつけろ。金を渡しておこう」
マーティ「(口笛)」
ドク「どの時代に迷い込んでいいようになってるぞ。50年代の服を買え」
マーティ「了解!」
ドク「なるたけ目立たない奴にしろよ!」
昼-ビフの家の前
マーティ「ドク!こちらマーティ、どうぞ」
ドク「あぁ、マーティか。私だ。どうした?」
マーティ「あぁドク。タネンの家の前。電話帳にタネンは1件しかなくて、そこはお婆さんが住んでいるらしくてビフの家じゃないみたい」
ビフの祖母「ビフ!」
ビフ「なんだよ!」
ビフの祖母「お前、どこ行くのよ!」
ビフ「車取りにいくって言ったろう、おばあちゃん!」
ビフの祖母「いつ帰るの?足が痛いんだからもっと揉んでおくれ」
ビフ「うるせぇな!クソババア」
子供「お兄ちゃん!ボール取って!」
ビフ「どのボール?」
子供「それだよ!ねぇ返して」
ビフ「なに言ってんだよ、お前ら」
子供「それ僕たちのだから!返してよー返してったら」
ビフ「これお前らのか?」
子供「そうだよ!」
ビフ「お前ら返してほしいのか?」
子供「返して!あっ。あぁ…」
ビフ「取ってこい!ハッハハハハー」
子供「何だよー」
マーティ「ビフの家だったよ。尾行する。以上」
歌 ミスター・サンドマン
昼-時計台前広場
子供「なんだよー」
ビフ「よぉテリー。キレイになったじゃねぇか」
テリー「修理はバッチリ。新品同然で、エンジンがかからないんだ。自分で防犯スイッチでも付けてんのかい?」
ビフ「こいつはコツがいるんだよ。俺以外の誰もかけられねぇのさ」
テリー「修理代は締めて302ドル57セントだ」
ビフ「300ドルだ!?2カ所ヘコんでただけだぞ、テリー。冗談じゃねぇぞ!おい、お前ぇ!」
テリー「馬糞だらけだったろ、車の中」
老ビフ「ハハッハハ」
テリー「ジョーンズに頼んであれを取り除くのに80ドルかかってるんだ!」
ビフ「それまた他へ売ったんだろうが!ちっとはこっちへよこせよ!」
テリー「金が欲しいなら店へ来いや。自分でジョーンズにかけあったらいい。料金払い戻せって」
ビフ「300ドルもふっかけられてたまるか!」
テリー「ここまでの運び賃はどうなる?」
ビフ「こんな目に遭わせた奴を取っ捕まえて首をへし折ってやる!」
老ビフ「肥料トラックか。そんなことがあったな」
テリー「それはこっちの問題だろ。俺は車をぶつけてないし、タイヤの在庫のツテを失ったんだ」
テリー「バルボリン・オイル4缶ならいいとこじゃないか、ビフ」
ビフ「たったの4缶だ。300ドルもふんだくられてよ」
テリー「あの店じゃ昼飯も食えない。吐き気がしてくるよ。未だに臭ってるんだ」
ビフ「1ケースよこせってんだ!ケチケチしやがって。がめつ過ぎるんだよ、お前は!」
テリー「駅の公衆便所よりまだひどいじゃん、ありゃ!」
ビフ「あぁわかった、わかった。もういいから行けよ。ありがとよ」
テリー「あのニオイは当分取れねぇ。たまんねぇぞ!もう2度とお断りだ!」
ビフ「くどいんだよ!お前は! うるさいんだよ!」
テリー「いくらもらっても!」
ロレイン&バブス「あぁ!ハハハフフフ」
バブス「ほら開けてみて」
ロレイン「あぁーん、素敵!」
バブス「素敵。いいわ、ロレイン」
ロレイン「ねぇねぇ似合う?」
バブス「うん、絶対注目の的よ」
ロレイン「あぁー早く着たいわ」
ビフ「よっ!何やったんだここで?イカすドレスだな、何も着ねぇ方がもっといいけどよ」
ロレイン「やめてよ!悪いけど私たち急いでいるから、またね」
ビフ「なぁロレイン。今夜、学校のダンス・パーティーだ。車も直ったし、俺付き合ってやってもいいぜ。1番イカした野郎と行きてえだろ?」
ロレイン「私、忙しいのよ」
ビフ「えーなんで?」
ロレイン「髪を洗うの」
ビフ「そういうの“戦艦に付けた網戸”って言うんだぞ」
マーティ「“潜水艦に付けた網戸”だろ。バカ者」
ロレイン「やめてよ、ビフ。離してよ。パーティーはもう約束しちゃったわ」
ビフ「誰と?間抜けのジョージか?」
ロレイン「いいえ、カルバン・クラインよ。お生憎様」
ビフ「カルバン・クラインだと!?冗談じゃねぇ!この俺と行くんだよ、いいな」
ロレイン「あんたの指図は受けないわ!」
ビフ「その鈍い頭にしっかり叩き込んどけ!お前は俺の女だ」
ロレイン「お断りよ。あんたの女になんか百万ドル積まれたってなるもんですか!えぇい!」
ビフ「どわぁー!!おぉぉ!待て、ロレイン!」
2人「ああぁ!」
ビフ「俺とお前は!」
運転手「おい!気をつけろよ!」
ビフ「俺は本気だぞ!いつか必ずお前と結婚してやる!お前は俺の女房になるんだ!」
老ビフ「女にはいつもその調子だった」
ビフ「おい!なんだよ勝手に人の車に乗って」
老ビフ「あの子と結婚したいならその夢を叶えてやる」
ビフ「へぇーお前さん老いぼれキューピットか?」
老ビフ「いいから車に乗れ。このバカ」
ビフ「バカとはなんだこのバカ!…おい今どうやった?俺でなきゃかかんねぇのによ」
老ビフ「黙って乗れ、タネン。へっ、ツキが回ってきたな」
昼-ビフの家の前
ビフ「おい!やめろ!どこ走ってんだよ、爺さんよ!ぶつけたら殺すぞ!あぁ…」
昼-ビフの家 ガレージ
ビフ「300ドルもかかってんだぞ!」
老ビフ「車の事なんかどうでもいい」
ビフ「あんた誰だよ!なんで俺のうち知ってんだい?」
老ビフ「遠い親戚ってとこだ。お前さんにプレゼントを持ってきてやった。金の成る木をな。金持ちになりたいか?」
ビフ「あぁなりてぇさ。なれるもんならな。へへへ。『金の成る木』だって?へへッ」
老ビフ「これがそうだ。未来を教えてくれる本。今世紀のスポーツのあらゆるビッグイベントの結果がのっている。フットボールに野球はもちろん、各地の競馬、ボクシング。この情報には百万ドルの値打ちがある。こいつをお前さんにやろう」
ビフ「どうもご親切にありがとさん。で、気が済んだたらさっさと木のように消えなよ、爺さん!」
老ビフ「“木の葉のように”だろ、このバカ!“木の葉の様に消えろ”だ!だから人にバカにされるんだぞ」
ビフ「うるせぇんだよ!いちいち!その本持って、とっとと失せろ!」
老ビフ「まだわからんのか?」
ビフ「うるせぇ!」
老ビフ「これがあれば一財産できるんだぞ?いいか、よく聞け」
ラジオの実況「残りまだあと20ヤードです。17対16と1点差に追い上げたUCLAですが、残り時間20秒を切っています。反撃もここまで。もう逆転はないでしょう」
老ビフ「19対17でUCLAの勝ちに百万ドル賭けよう」
ビフ「聞いてねぇのかよ!もう決まりだって言ってんだよ。寝ぼけんな!」
老ビフ「どうかな」
ラジオの実況「デッカーがプレースキックの体勢。デッカー蹴った!これはいい!グーンと伸びて…入った!!フィールドゴール成功!UCLA逆転勝ち!19対17。デッカーやりました!この歓声をお聞き下さい!ハーフバックのジム・デッカー。鮮やかなフィールドゴールです」
ビフ「爺さんなんのギャグだ?なんでスコアまでわかったんだ?」
老ビフ「だから言ったろ?全部書いてある。これに従って金を賭けれりゃお前は負け知らずだ」
ビフ「わかった。じっくり見とくよ」
老ビフ「この大バカ者が!いいか、2度とこの本を置きっぱなしにするな!金庫はあるか?あるわけないな。金庫を買え!そこに入れてカギをかけろ!それまでは肌身に離さずこうして持ってろ!」
ビフ「なにすんだよ!」
老ビフ「この事は誰にも言うんじゃないぞ!それからもう一つ。その内、いつか目のギラギラした変人の科学者と子どもがやってきて、その本のことを聞くかもしれない。連中はその本の値打ちを知っている。もし、ここを嗅ぎ付けてきたらその時は必ず殺してしまえ」
マーティ「クソッ!閉じ込められた。ドク!」
昼-リヨン団地建設予定地
マーティの声「ドク、僕だよ」
ドク「マーティ、どうした?」
マーティの声「ビフは行っちゃったよ」
昼-ビフの家 ガレージ
マーティ「本を受け取って爺さんと一緒に。僕はガレージの中」
昼-リヨン団地建設予定地
マーティの声「すぐデロリアンで助けにきてよ」
昼-ビフの家 ガレージ
マーティ「住所はメイソン通り1809番地」
昼-リヨン団地建設予定地
ドク「真っ昼間にこの車じゃマズい。でも、なんとかして行くから待ってろ!」
昼-ビフの家 ガレージ
マーティ「ねぇドク!ちょっと待って!聞いてよ…ドク!はぁ、完璧だ!あぁ」
夜-ビフの家 ガレージ
ビフの祖母「ビフ!お待ち!また出掛けるのかい!?」
ビフ「言ったろ?婆ちゃん。ダンス・パーティーに行くって」
ビフの祖母「何時に帰ってくるの?」
マーティ「パーティーか」
ビフ「帰ってくる時に帰ってくるよ」
ビフの祖母「ガレージの電気を付けっぱなしにするんじゃないよ!」
夜-ビフの家 ガレージ
ドク「マーティ、おい!マーティー!おいマーティ!くそーあいつどこ行ったんだよ」
夜-ビフの車内
歌 パパはマンボが好き
マーティ「ドク!ドク!応答せよ」
夜-時計台前広場
ドク「あいあい、どうぞ」
夜-ビフの車内
マーティ「ドク。あっ…」
夜-時計台前広場
ドク「マーティ。どうしたんだい…。待ってよ、あれは?こいつは驚いた!」
夜-ビフの車内
マーティ「ドク、僕だよ」
夜-時計台前広場
ドク「マーティ、どうしたって言うんだ?ビフのうちにいないじゃないか!?」
夜-ビフの車内
マーティ「きっと入れ違いになったんだよ。いまビフの車の中。『魅惑の深海ダンス・パーティー』に行くとこ」
夜-時計台前広場
ドク「マーティ!この作戦は中止にした方がいい!危険が大きすぎる!」
マーティの声「大丈夫。本はダッシュボードの上だ」
夜-ビフの車内
マーティ「学校に着いたら取る」
夜-時計台前広場
ドク「マーティ!学校はまずい。別の自分に鉢合わせするぞ!」
マーティの声「別の僕?」
ドク「そうだ!忘れたのか?この前来た時に君がお袋さんと踊っていたあのパーティーだろ?」
マーティの声「あっそうそう。ヘビーになってきたな」
ドク「ヘビー、ヘビーだよ…。マーティ、君が顔を出せば何が起こるかわからん。恐ろしい結果を招く事になる」
55年ドク「ちょっとすいません」
ドク「ふあぁ、いや!」
55年ドク「そうあんただよ」
ドク「誰?私?」
55年ドク「あぁ。そこの道具箱から5/8インチのレンチを取ってくれないか?」
ドク「5/8?あぁ、3/4インチじゃないのかね?」
55年ドク「えぇーっと、そうだな」
ドク「あぁ、あんたここでなんかの気象実験を始めるところかな?」
55年ドク「その通りだ。どうして分かった?」
ドク「なぁに私もよくこの辺で実験をやったもんさ」
55年ドク「どうだろ?今夜、雷が鳴るといいんだが、天気予報じゃ雨は降らないと言っている」
ドク「いやぁ、どしゃ降りになるさ。風に雷、きっと大嵐が来るんじゃないのかね」
55年ドク「そうか。気休めでもありがたい。また将来どこかでバッタリ会えるといいね」
ドク「あるいは過去でね」
⑥スポーツ年鑑争奪戦
夜-ヒル・バレー高校 体育館
マーティ「ドク!聞こえる?」
夜-体育館 外
ビフ「おい!カルバン・クラインとかいう野郎はどうしたんだ?」
3D「知らねぇよ、ビフ。俺、奴の秘書じゃねぇもん」
ビフ「いいから探してこい!奴には車の修理代300ドルとパンチ1発貸しがあるんだ。早く行け!」
3D「飲んじゃえよ」
スキンヘッド「来ないのか?」
ビフ「本読んでんだ」
マーティ「はっ。はぁー」
ストリックランド「ほほぉ。タネンじゃないか。こんな所でお目にかかれるとは」
ビフ「教頭先生。奇遇ですね」
ストリックランド「ふふふ。これはウィスキーの匂いか?」
ビフ「えっ?さぁわかりません。まだウィスキーが飲める歳じゃないですから」
ストリックランド「そうだな。なんだね、これは?スポーツ年鑑。見応えのある中身だ。宿題かね?」
ビフ「宿題ってのは家でやるもんでしょ?」
ストリックランド「その態度は何だ?この際、君に言っといてやる。いつか必ず居残り処分にするからな。怠け者が!」
夜-ヒル・バレー高校 駐車場
PART1マーティ「君、タバコも吸うの?」
マーティ「おぉっと」
ロレイン「いやだな、マーティったら。まるで私のママみたい」
PART1マーティ「そうだね」
ロレイン「将来子どもが生まれたら好きにさせてあげるわ。したいこと何でも」
PART1マーティ「証明とっておきたいな」
マーティ「あぁ僕もさ」
ロレイン「マーティ。なんだか落ち着かないみたいね」
PART1マーティ「いやぁ別に」
夜-ストリックランドの部屋
ストリックランド「シーッ?つっ。かぁぁん」
ストリックランド「ん?」
マーティ「(あああ、あぁあぁあぁ。…っ、くふう!)」
マーティ「ふははは。はぁ、やった!はぁはぁはは…あぁ?なんだこれ?ウーララ!?中身が違う!そんなバカな!」
マーティ「ドク!ドク!ねぇ返事してよ!」
ジョージ「おい君!その汚い手を離すんだ!」
ドクの声「マーティ」
マーティ「ドク!まずいよ!ヘマやっちゃった」
夜-リヨン団地建設予定地
ドク「本はどうした?」
マーティの声「まだビフが持っていると思う」
夜-ストリックランドの部屋
マーティ「取り返したのはカバーだけさ」
ドクの声「ビフはどこだ?」
ビフ「なぁマクフライ。望みとあらば相手してやるぞ」
マーティ「わかんないよ!」
ドクの声「見当はつかんのか?」
マーティ「つかないよ!どこを探したらいいのか?」
夜-リヨン団地建設予定
ドク「未来のすべてがかかってるんだ。ビフを見つけて本を取り戻さなきゃ!」
夜-ストリックランドの部屋
マーティ「わかってるけど、そんなこと言ったって…」
ロレイン「やめて!…やめて!ビフ。腕が折れちゃうわ。やめてったら!」
マーティ「そうだよ!切るよ、ドク。最後のチャンスだ。パパが今にビフを伸しちゃうから!」
夜-駐車場
ビフ「へへへへっ」
ビフ「おおぉぉ…」
マーティ「よしっ!」
高校生たち「ケンカしてるみたい。えぇすごい。誰だあれ?伸しちゃった。誰あれ?」
マーティ「最高にいい場面だな」
ジョージ「大丈夫かい?」
高校生たち「ビフも形無しだな。完全に伸びてる。大丈夫ビフ?」
マーティ「さぁみんな下がってくれないか?もっと場所を広くとって。新鮮な空気を吸わせてやらなくちゃダメだよ。大丈夫、僕に任せといて。人工呼吸もできるから」
高校生「人工呼吸ってなんだい?」
ビフ「てめぇ!…おっ…」
マーティ「大丈夫」
高校生「おい君。財布を盗きとったろ?あいつ財布を抜き取ったぞ」
夜-リヨン団地建設予定地
マーティの声「ドク、取り戻した。成功だよ」
ドク「あぁ、ついにやったか。偉いぞ、マーティ。燃料を補給したらすぐに迎えにいく」
夜-体育館 外
ドクの声「落ち合う場所は体育館の屋根だ」
マーティ「屋根だね。了解」
3D「奴だ!」
スキンヘッド「変装なんかしやがって!」
マーティ「見ろ!なんだあれ!?」
3人「どぅわ!クソっ!」
スキンヘッド「おい逃すな!」
夜-リヨン団地建設予定地
ドク「くそっぉ」
夜-体育館
歌 アース・エンジェル
マーヴィン「それではここで選手交代」
3D「どこへ行きやがった。ここへ逃げ込んだはずだが」
マーヴィン「グーンとパンチの効いた奴を」
PART1マーティ「パンチの効いた奴ね」
3D「いたぞ!なんで奴がステージに?」
スキンヘッド「知るかよ、降りてきたら捕まえてやる」
マッチ「どうやってこんなに早く着替えたんだ?」
PART1マーティ「えぇっとじゃあ、少し古めかしい曲を。あぁ、僕のいた所で懐かしい曲を一つ。リズムはブルースで、Bから入って途中で変調するけど適当に合わせてついてきて」
スキンヘッド「あそこだ!」
歌 ジョニー・B・グッド
マーティ「ドク」
夜-デロリアン
マーティの声「ねぇ聞こえる?」
ドク「なんだ?」
夜-体育館
マーティ「どうしよう。ビフの仲間が追ってきて狙ってるんだよ、僕を…」
夜-デロリアン
ドク「さっさと逃げ出せ!」
マーティの声「違うんだ!僕じゃなくて」
夜-体育館
マーティ「別の僕。ステージで今『ジョニー・B・グッド』を演奏してるよ!」
ドクの声「それはマズい!落雷までに」
夜-デロリアン
ドク「時計台に行かないと、未来に帰れなくなってパラドックスが起きる!」
夜-体育館
マーティ「パラッドクスって何?宇宙が破壊されるとか言ってた、あれ?」
ドクの声「あぁそうだ。連中を阻止しろ!」
夜-デロリアン
ドク「だが、別の君に見られんようにな」
夜-体育館
ドクの声「君の両親にもだ!」
マーティ「了解」
夜-駐車場
ビフ「おっおっ、な、なんだよ。奴はどこだ?」
高校生「誰?」
ビフ「カルバン・クライン」
高校生「えぇ?」
ビフ「黒い帽子の野郎だ!」
高校生「あぁ、あっちへ行ったよ。君の財布を抜き取ったぞ!財布だったよな?」
夜-体育館
3人「どぅわあっ!」
マーティ「よーし。うわぁ…」
マーティ「んっえへ。はぁはぁはぁ」
PART1マーティ「君たちにはまだちょっと早すぎたかな。子どもの代になんないと」
3人「どぅ…」
夜-体育館 裏口
マーティ「ドクやったよ!全部片付いた」
ドクの声「よぉし!1分後に学校の屋根に着陸する」
マーティ「待ってるよ」
PART1マーティ「ロレイン」
ロレイン「マーティ。とても興味深い演奏だったわ」
夜-体育館 外
ロレイン「あぁ私、ジョージに送ってもらってもいいかしら?」
PART1マーティ「あぁもちろん。そうしたら?君たち似合いのカップルだ」
ロレイン「あら、そう思う?」
ビフ「やい、てめぇ!」
ジョージ「じゃマーティ。色々タメになる忠告をありがとう」
ビフ「そんな変装で俺の目はごまかせねぇぞ。ケリつけようじゃねぇか。俺とお前と。今ここで」
マーティ「お断りだ」
ビフ「おい、どうした?どこ行くんだ?この腰抜け!コソコソ逃げ出すのか?腰抜けのヒヨッコが!」
マーティ「誰にも…腰抜けなんて言わせっ、うっ!あぁ。あ、あ、あ、あぁ…」
ビフ「おいてめぇ。人のもん盗みやがって。けいっ!」
マーティ「あぁ、あ…」
ビフ「こいつは車のお返しだい!」
マーティ「うわぁ!あぁ、はぁ…あぁ…」
夜-体育館 屋上
マーティ「ドク!ドク!ダメだよ、ビフに捕まって本を盗られた。あいつ車で…」
ドク「あぁ、はぁあ…」
マーティ「僕が悪いんだ。グズグズしてたから」
ドク「そんな事はいい。奴はどっちへ行った?」
マーティ「東だよ。リバー通りのトンネルの方」
ドク「よしっ!乗れ!」
夜-道路
マーティ「いた!あれだよ、ドク!あの上に降りて車をつぶしたら?」
ドク「46年型フォードだ。こっちがアルミ箔みたいに引きさげちしまう」
マーティ「じゃどうすんの?」
ドク「考えがある」
ラジオ「今夜の気象情報です。激しい雷雨を伴った嵐がヒル・バレーに近づいています」
ラジオ「こちらはヒル・バレー周辺のニュースと最新の情報をお伝えするKK-HBです。地域の催しのお知らせです。ヒル・バレー・ウィメンズ・クラブ主催のチャリティーバザーが明日2時から5時までフォレスト・ロードのコミュニティーセンターで開催されます。続いて、スポーツファンのみなさんに今日の大学フットボールの結果をお伝えしましょう。首位から10位までの成績です。UCLAが19対17でワシントン大に逆転勝ち。ミシガン州立大は42対14でミソネタ大を下しました。オハイオ州立大はアイオワを破り20対10。ミシガンは30対0でインディアナに圧勝」
マーティ「クソっ!」
ラジオ「ノートルダムはノース・カロライナに勝ち、27対7」
ビフ「すげぇな、こいつは」
ラジオ「オクラハマは52対0でアイオワ州立大を寄せ付けず。ウェスト・バージニアは26対7でピッツバーグに敗北。テキサスA&Mはライスを20対0。メリーランドがクレムゾンに25対12。テキサス・クリスチャン対テキサスは47対20。ここで今夜の気象情報を繰り返します。激しい雷雨を伴った嵐がヒル・バレーに接近…」
ビフ「この野郎!くたばれ!」
マーティ「おぉお!」
ビフ「クソっ。手を離せ!」
マーティ「うふっ!うわぁ!あっ!」
ビフ「振り落としてやる!」
マーティ「どぅ!うわぁー!いやぁああー!」
マーティ「うう…うわっ!んぐっ!んふぁ」
夜-トンネル
ビフ「思い知らせてやる!」
ビフ「けっ!どぉ!」
マーティ「うあぁぁ。うはぁ、ふっ…」
ビフ「えぇい!」
マーティ「あぁーーあーー!ふぅ。ほっ」
ビフ「えぇい」
マーティ「えっへ。はっ。はぁ」
マーティ「へっ。ふぇえ。ふう…へっ」
マーティ「やめろっ!」
マーティ「ふああぁっ!」
ビフ「ハハッハハハハッ」
マーティ「ひやぁぁ。ひやああぁっ!だっ、へっ!上がれー!」
ビフ「おぉ」
ドク「しっかり捕まってろー!」
ビフ「あぁクソー!おわぁっ!」
マーティ「ハハハッ。やーい!」
ビフ「チキショウ!なんでいつも肥料なんだ!クソー!」
夜-リヨン団地建設予定地
マーティ「ドク!そっちは大丈夫?どうぞ」
ドク「あぁマーティ。だが飛ぶには最悪だ。この向きは風が強いから旋回して南から降りる。待ってろ。本はどうした?」
マーティ「ここにあるよ。バッチリ取り返したさ」
ドク「焼け!」
マーティ「了解!」
マーティ「ドク!ドク!新聞の記事が変わってる。パパはちゃんと生きてるんだ。全部元通りになったってことでしょう?」
ドク「あぁハハ。これで任務完了」
マーティ「ジェニファーもアイニーもこれで無事だよね?」
ドク「そうとも、マーティ。波状効果って奴だ。未来が戻ってきた。さぁ帰ろう」
マーティ「OK!堂々と胸張って未来へ…」
マーティ「ドク!ねぇ大丈夫?」
ドク「今のは近かったな。目がくらみそうだった」
マーティ「気をつけて!雷をもろに喰らったら黒こげだよ!」
タイムスリップ!!
⑦消えたドク
マーティ「ドク…」
マーティ「ドク…。ドク、返事して。ドク聞こえる?聞こえますか?ドク、どうぞ。ドク!」
マーティ「イヤだよ、そんなの…。死んじゃった…。僕だけ残して」
ウェスタン・ユニオンの男「マクフライ君?」
マーティ「えっ?」
ウェスタン・ユニオンの男「君の名前はマーティ・マクフライかね?」
マーティ「そうだけど」
ウェスタン・ユニオンの男「君に渡す物がある。手紙だ」
マーティ「僕に手紙?そんなことあり得ないよ。あんた誰なの?」
ウェスタン・ユニオンの男「ウェスタン・ユニオンの者だ。事務所の連中はみんな君がこの問題にケリをつけてくれるのを期待しているよ。我々はこの封書を預かって70年間保管してきたんだ。明確な指令書付きで引き継がれてきた。ちょうど君の様な人相、体格の青年に手渡す様にとね。名前はマーティ・マクフライ。1955年の11月12日。この場所でキッカリこの時間にだ。マーティが現れるかどうかみんなで賭けをしたんだが、負けてしまった。ハハハッ」
マーティ「70年間保管してたって?」
ウェスタン・ユニオンの男「そう。70年2か月と12日間だ。サインもらえるかね?これに」
マーティ「ドクからの手紙だ!」
マーティ「『マーティ。私の計算通りなら、君はデロリアンが落雷を受けた直後にこれを受けとるはずだ。心配してると思うが、私は元気だ。1885年の8か月、ここで楽しく過ごしている。落雷のために…』1885年!1885年の9月!?はぁあ!」
ウェスタン・ユニオンの男「おい君!ちょっと待ってくれ。どういう事なんだ?」
マーティ「生きてんだよ!ドクは生きてるんだ!大昔の西部にいるけど生きてる!」
ウェスタン・ユニオンの男「おい君!大丈夫か?力になろう!」
マーティ「頼れるのは1人しかいないよ!」
夜-時計台前広場
タイムスリップ!!
ドク「アハハー!ハハハハハッー!」
マーティ「ドク!ドク、ねぇ!ドク!ドク!」
ドク「ひやぁぁぁー!」
マーティ「落ち着いてよ、ドク。僕だよ、マーティだよ」
ドク「そんなバカな。今未来へ送ったとこなのに」
マーティ「そう。いや送り出してもらったけど、また来たんだよ。未来から戻ってきたの」
ドク「なんてこった…」
マーティ「ドク!ねぇ!しっかりしてよ。あぁ…まいったな、もう」
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